ついにハメス・ロドリゲスがバイエルン・ミュンヘン加入後初めて顔をほころばせた気がした。それは彼が『真価を発揮した』ことと同義である。
ハメスは19日に行われたシャルケ戦で右ウィンガーとして先発出場。ここまでプレシーズンでは不発、そして負傷と、ミュンヘンでは苦しんでいるように見えたが、この日の輝きはまさにまばゆいばかりであった。フットボールを知らない者が見ても、若きコロンビア代表のスターが試合の中心にいたことが理解できたのではないだろうか。事実、試合後にはマン・オブ・ザ・マッチの表彰を受けている。
■圧巻のパフォーマンスを披露
シャルケを3ゴールでひれ伏せたバイエルンの攻撃陣には常にハメスの存在があった。先制点につながるPKを奪取したのは、ハメスがクロスを送ったことで相手DFのハンドを誘ったからであり、追加点は彼自身が奪ったものだ。相手のミスからパスをつないで、最後に左足で流し込んだシュートは決して派手なゴールではなかった。しかし、ゴール前で圧倒的な落ち着きを見せ、GKの逆を取るようにニアへ転がしたのは彼の技術の高さを改めてうかがい知ることができる。
そして止めの3点目も、ハメスの左足から生まれた。狭いエリアでも自らのリズムを崩すことなく、ボールをキープすると、意表を突く浮き球のパスで、アルトゥーロ・ビダルのボレーシュートをお膳立て。得点につながったもの以外にも、トーマス・ミュラーに2度の決定機を作り出したことや、88分に自身のドッペルパック(2得点)のチャンスを手にしたことは特筆に値する。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは必然であった。
華麗なパスで勝負あり!
— DAZN ダ・ゾーン (@DAZN_JPN) September 20, 2017
バイエルンの新加入ハメス・ロドリゲスがアウェイの地で輝きを見せつけた。
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レアル・マドリーからの獲得を熱望したとされるカルロ・アンチェロッティ監督が「利他的で、とても良いプレーをしていた」と褒め称えれば、ともにピッチに立った選手たちからも次々と称賛の言葉が届いた。
エースのロベルト・レヴァンドフスキは「本当に良いプレーをしていた。彼がいれば、よりゴールのバリエーションが増えるし、チーム全員が幸せだよ」と語る。出し手となることが多かったMFセバスティアン・ルディは、ハメスの“準備”に好感触を抱いたようだ。
「いつでもボールを欲しがっていたね。常にボールを受ける準備ができていたし、一緒にプレーしていて楽しかったよ」
ライバルともなりうるトーマス・ミュラーを持ってして「攻撃面においてのハイライトだった」と言わしめたハメスだが、課題がないわけではない。チャンスを創出した数と同様に、ボールロストの回数も決して少なくなかった。コンディションの不安もある。
■今後の課題は?
8月に行われたアウディカップ・リヴァプール戦で負傷離脱を余儀なくされたハメスは、バイエルンではシャルケ戦を含め公式戦3試合にしか出場していない。アンチェロッティの「まだ身体的に100%の状態ではない」という言葉を疑う者は誰もいないだろう。
また、いまだバイエルンにおいて適正ポジションが見つかっていないという点も憂慮されるべき問題だ。彼の公式戦デビューとなったホッフェンハイム戦は、途中出場から敗戦を免れるべくアンチェロッティがスクランブル的に攻撃的な選手を次々と投入したため、除く必要がある。
2試合目のチャンピオンズリーグ・アンデルレヒト戦は古典的な10番つまりトップ下として先発した。フランク・リベリ、アリエン・ロッベンというクラブの2大看板を両翼に備えていたが、明らかにチームとしてもハメス個人としても上手くいっている様子はなかった。
そして、シャルケ戦では右サイドのアタッカー。ロッベンやコマンといった選手たちとは明らかに異なる方法でプレーした今回の“場所”が最適解となりうる。時折中央へと移動し、チームにポジションチェンジをもたらした動きはポジティブな効果を与えていた。ミュラーもこのように『Goal』へと語ってくれている。
「ハメスはスペースが十分にある右サイドを好んでいたね。クラシックなウィンガーではないけど、視野が広いんだ。中央に移動して左足のパスやクロスでストライカーにボールを供給できる。良いハーモニーを奏でていたと思うよ」
もちろん、トップ下でも右サイドでもバイエルンのようなビッグクラブにおいて激しいポジション争いは避けられない。シャルケ戦の活躍が見事なものであったことは疑いようがないが、現時点で定位置を確保したと考えるのは楽観的すぎるだろう。しかし、彼のあどけない笑顔が見えたことには小さくない意味がある。ドイツに彼のファンが増えるという短期的な効果だけでなく、長期的な視野でも、バイエルンにとってなくてはならないピースとなるはずだ。
取材=ニクラス・ケーニッヒ/Niklas König
文=Goal編集部
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