ミランのハイテク研究所ミラン・ラボの責任者を務めたダニエレ・トニャッチーニ氏が10日、イタリア紙『コリエレ・デラ・セーラ』のインタビューに応じ、過去の逸話を明かした。
■マルディーニらスターを支えたミラン・ラボ
トニャッチーニ氏は20年間にわたり、ミランにおいてフィジカルトレーナーや2002年に設立したミラン・ラボの責任者として役割を果たしてきた。今年、ミランに別れを告げたトニャッチーニ氏は過去を振り返り、これまでのエピソードを明かしている。
「(ミラン・ラボ)プロジェクトはアドリアーノ・ガリアーニ(元CEO)がスタートさせた。生化学、メンタルなど複数の分野のデータを収集し、当時は世界でも先駆者だった。20年間で集めたデータは200万件にのぼり、我々のパートナーであるマイクロソフトが、『ミラン・ラボはスポーツ界において世界で最も重要なデータベースを所有する』と認めていたんだ」
2000年から2009年にわたったカルロ・アンチェロッティ指揮下では、チャンピオンズリーグ(CL)を2度制するなど栄華を極めたが、トニャッチーニ氏はミラン・ラボが黄金期を支え、ベテラン選手をサポートすることができたと自負する。
「黄金期はアンチェロッティが率いた頃だ。CL決勝へ3回進出し、バロンドール受賞者を2名輩出した。(パオロ)マルディーニ、(アレッサンドロ)コスタクルタ、(フィリッポ)インザーギが40歳近くまでキャリアを続けられたのもミラン・ラボのおかげだと言える」
■中国資本体制ではメソッドの売却も検討
ミラン・ラボに誰もが関心を示したわけではない。深い興味を抱く者もいれば、ほとんど関心を示さない者もいた。研究所の元責任者は続ける。
「(ヴィンチェンツォ)モンテッラや(シニシャ)ミハイロヴィッチはあまり興味を示していなかった。反対にマウリツィオ・サッリは本物の数字マニアだよ。毎回会うたびに『情報が欲しい』と言われる。彼はデータが大好きだからね。チェルシーにも誘われたけど、これからは仕事の量を減らすつもりなんだ。あとマインドルームに足繁く通っていたのは(クラレンス)セードルフだよ」
またトニャッチーニ氏は、リー・ヨンホン氏が率いた中国資本の前体制が、ミラン・ラボのメソッドをアジア地域で販売することを検討していたことを明かした。
「中国資本のオーナーは、メソッドを東洋へ輸出するビジネスプランの構想を練っていた。(シルヴィオ)ベルルスコーニ(元会長)は、財産でもある非常に貴重な情報で金儲けすることには、一切興味を示していなかったので正反対だった」
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