リヨンに移籍すれば、女子サッカーのエリート街道まっしぐらだと言う人もいる。
フランス1部リーグ、クープ・ドゥ・フランス、女子チャンピオンズリーグをリヨンより制覇しているチームはない。そして、そのリヨンは5月に4度目の3冠を果たした。
ルーシー・ブロンズは北イングランドから最適な環境へと移って来た。勝つことのみが求められる環境だ。
「どんなに実力や才能があっても、複数の大会を同じ時期に戦うのは難しい。それが理解されないこともある」
ブロンズは『Goal』に語る。リヨンでプレーすることは並大抵のことではないようだ。
「毎試合集中して努力を続けるのはいつだって難しい。そしてリヨンではそれが普通に求められるの。毎試合勝たなければならない。優勝するためにはそれくらいの集中力が必要だから」
そう話したブロンズのキャリアはいつだってトロフィーと成功にあふれてきた。今年の『Goal 50』2位入賞もその一つだ。
激動の一年を彼女は楽しげに懐かしんだ。
「あの試合の雰囲気は…」と話し始めたのは、去年11月に行われたパリ・サンジェルマン戦(1-1)。敵地に乗り込んだ一戦は、特別な雰囲気だったという。
「あの試合はよく覚えている。スローインをするときも至近距離のパリのファンが萎縮させるためにトイレットペーパーとかをピッチに投げ入れていたから」
しかし、プレッシャーがかかればかかるほど、力を発揮できるのがブロンズ。W杯出場を決めることとなったウェールズ戦もそういった類の試合だったと笑顔で語る。
ウェールズはアウェーの洗礼として7850人しか収容できないニューポート・カウンティのロドニー・パレードで試合をすることを選んだ。
「彼らは『イングランドはこの環境に慣れていない』と思ったんだろうけど、私たちはスーパースターではないから大丈夫って思ったわ」
「毎試合ウェンブリーで試合するわけではないしね」
ルールさえもねじ曲げられていたようだが、ブロンズは楽しんでさえいたという。
「ピッチのラインが内側に描かれていて、いつもよりピッチが小さかったのは面白かったわね。彼らは嫌がらせの目的でやったんだろうけど、私たちはそれを楽しんでいた面もあったの」
彼女は挑戦を恐れることなどない。以前、ブロンズは私たちに、対戦したい選手のリストを見せてくれた。そのリストの多くはすでに達成されている。
その一人がブラジル代表のスター、マルタだった。昨年10月にイングランドとブラジルは対戦。しかし、そのときは「彼女は20分で交代してしまったの」と残念がる。一方で、ブロンズは楽しむ気持ちを常に忘れない。
3月にイングランドが初優勝したシービリーズカップのアメリカ戦で、フィル・ネヴィル監督に普段と違うミッドフィルダーでプレーするよう指示されたときも、同じ気持ちだった。
「ネヴィルは数週間前に伝えてきて、私は楽しみにしていたの。ミーガン・ラピノーとトビン・ヒースはウィングでプレーしていたけど、中に入ってくることが多かった。だから相手のベストプレーヤー全員の相手をする必要があった。3人のミッドフィルダーと中に入ってくるウィンガーね。とても楽しかったわ」
もちろん、男子同様女子サッカー最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグも同様に心が高鳴る場所だ。特に女子のトップチームであるヴォルフスブルクと対戦した準々決勝は思い出深いものとなった。
「あれは楽しかったわ。大きなホームスタジアムで最初にプレーしたときのことをよく覚えている。前半の私たちは素晴らしかったけど、後半に少し消耗して、後半は相手が素晴らしかったわね」
最終的には、アグリゲートスコア6-3でリヨンに軍配が上がった。準決勝で辛くもチェルシーを退け、決勝ではバルセロナを4-1と一蹴した。リヨンはチャンピオンズリーグで4連覇を達成しており、その競争性に疑問符をつける人も少なくない。しかし、ブロンズの意見は異なる。
Getty「バルセロナはとてもいいチーム。去年はとても苦しめられたわ。彼らをリスペクトしているからしっかりと準備をし、ああいう結果になった」
この結果は、ブロンズがイングランド代表としてW杯に乗り込むのに理想的な形だった。
実際、イングランドは華々しいスタートを切る。3戦全勝でグループを首位で通過し、ライオネスはカメルーンとノルウェーも撃破し、準決勝で前回覇者アメリカと対戦することになった。
優勝という目標を掲げた中で1-2と惜敗。悲願のW杯制覇への道は途絶えることとなった。しかし、その差はわずかなものだった。
ブロンズは「プレミアリーグやテレビでVAR判定を見るたびに、エレン・ホワイトのオフサイドゴールのことをこのくらい考えるの」と、言いながら指と親指をほんの少しだけ離すジェスチャーを見せた。
ホワイトのゴールが認められていれば、試合は2-2となっていた。イングランドが押し気味に進めていただけに、逆転もあったかもしれない。ブロンズはこうも続ける。
「彼らはトップレベルのチームで、W杯を2回制していて、それも連覇をしている。けれどもあの試合は、ほんのちょっとした差だった。私たちは4位で彼らは優勝だけど、直接対戦したときの差は文字通りこれくらいだった」
そして、また例のジェスチャーを見せる。
大会終了後、彼女は多くの栄誉を授かった。
UEFA最優秀女子選手賞、W杯のシルバーボール、『FIFPRO』のベストイレブンにもノミネートされ、今後も多くの賞を手にするだろう。しかし、W杯のトロフィーなしでは彼女は満足できない。「個人賞はあまり好きじゃない」とはっきり口にもしている。
「個人賞はW杯を優勝して初めて喜べるから、シルバーボールをもらっても意味がないの。結局のところ、家にあるすべての個人賞と引き換えにW杯が欲しいくらいよ」
常にピッチ上で楽しみ続けるブロンズだが、やはり同時に結果を強く求めている。飽くなき挑戦心は満ち足りることはなく、すでにその目は4年後を見据えていた。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です