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【NXGN】チェーザレ・カサデイ:チェルシーに1600万ポンドで加入したイタリアのワンダーキッド

トッド・ベーリー氏にとって初めての移籍市場において、補強戦略はかなりの精査の下に行われてきた。だが、ひとつ確実なのは、新しいアメリカ人オーナーは10代の才能豊かな選手との契約を優先していたことだ。

イングランドのU19欧州選手権優勝チームのスター、カーニー・チュクエメカはアストン・ヴィラから最大2000万ポンド(約32億4000万円)で加入し、シカゴ・ファイアーからはガブリエル・スロニナが加入した。ブルーズはこのアメリカ人GK獲得のために最大1230万ポンド(約19億9000万円)を投資している。

アーセナルからオマリ・ハッチンソンを獲得したことには疑問の声が多く挙がったが、水面下でザック・スタージをブライトンから、タイラー・ディブリングをサウサンプトンから獲得した。これらの移籍は、長い目で見ればタダ同然の取引になる可能性がある。

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だが、チェルシーはこれで終わらない。

移籍ウィンドウの終盤には、ピエール=エメリク・オーバメヤン、フレンキー・デ・ヨング、アンソニー・ゴードンといったトップチームでの活躍が保証された選手たちの動向に注目が集まる中、チェルシーはユースレベルの選手を加え続けた。

そして、直近で加入した選手が19歳のMFチェーザレ・カサデイだ。インテルから1680万ポンド(約27億7000万円)でウェストロンドンに加わった。

チェルシーはカサデイとの契約合意に至るまでに何度もオファーを断られたが、最終的にニースとの争奪戦を制している。

さて、カサデイとは何者だろうか?

そして、すぐにチェルシーのトップチームに加われる可能性はあるのだろうか?

海辺の街チェルヴィアで育ったカサデイと兄エトレは、ともにサッカー選手になることを夢見ていた。エトレの夢もある程度は叶っており、現在セリエDのサヴィニャネーゼでプレーしている。

一方のチェーザレは、特別な才能を秘めた選手として常に目立っていた。最初は地元のクラブ、チェルヴィアで頭角を現し、次にチェゼーナのアカデミーに加入した。

フィジカル、技術の両面で同年代の子供たちの上を行っていた。試合を見通す能力と戦術眼が経験の少なさを大きく上回っていた。

カサデイが目標に到達することを誰も止めることはできなかった。母親から罰を受けたが、練習を休まないためにチェルヴィアからチェゼーナまで雨の中22キロも歩いたこともあった。

カサデイはすぐに、チェゼーナを経由してACミランで活躍した元イタリア代表MFマッシモ・アンブロジーニと比較されるようになる。カサデイは子供の頃ロッソネリを応援していたこともあり、彼と同じ道を辿りたいと強く望んだ。

2018年、チェゼーナが破産を宣言する数週間前に、そのミランに推薦されたこともある。だがそのタイミングでインテルが争奪戦に加わった。このシーズン序盤にインテルのユースはチェゼーナと戦い、このMFに好印象を持っていたからだ。

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加入にあたってカサデイは「今、僕はインテルのファンです」と宣言。まだ15歳だったが、すぐにネラッズーリのU17に昇格した。さらに翌シーズン開始時にはU18に昇格し、2020年1月にはプリマヴェーラ(U23)デビューをゴールとともに飾っている。

ほぼ8番としてプレーしているものの、得点力がカサデイの魅力のひとつだ。2021-22シーズンにインテルがプリマヴェーラ優勝を飾ったシーズンでは、33試合で15得点を挙げている。

これらのうち9得点はヘディングによるものであることも驚きではない。186センチと長身ながら、ピッチを十分なスピードで動き回ることもできる。

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インテルのユースチームをよく見ている人には、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチにたとえられてきた。この比較をカサデイ自身も歓迎している。『ガゼッタ・デロ・スポルト』で「彼のキャラクターやプレースタイルがとても好きで、インスピレーションを受けた選手だ。けれどそのレベルに達するためには、たくさん努力しないといけないね」と語っている。

「インテルでは、マルセロ・ブロゾヴィッチとニコロ・バレッラといったMFを見ている。2人は偉大なチャンピオンだ。僕が彼らから盗めるもの? バレッラのインテンシティや、ブロゾヴィッチのボールを持ったときの落ち着きかな」

チェルシーでも、トップチームのMFからより多くのことを学ぶことになるはずだ。カサデイがイングランドでどれだけ早く順応できるか興味深いところだ。

昨シーズン、カサデイはセリエAで1試合のベンチ入りに留まったが、彼に投じた金額を考慮すれば、2022-23シーズンが進むにつれて、スタンフォード・ブリッジのファンは1度か2度は彼を見ることができると期待できるはずだ。

ベーリー氏はユースへの投資は価値の高い移籍戦略と考えているようだ。そしてカサデイはこの新しいオーナーの構想を実現するためのすべてを持ち合わせている。

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