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【NXGN Jリーグ】稀有な経験を積むサガン鳥栖の逸材DF中野伸哉。「世界と戦える」パリ五輪を“分岐点”に定め飛躍目指す/インタビュー

 8月中の明治安田生命J1リーグの5試合で2勝2分け1敗としたサガン鳥栖。その全試合にフル出場した中野伸哉は、1-1で終えた第27節、アビスパ福岡との“九州ダービー”でも悔しさを露わにするなど、チームをけん引する立場としての姿勢を目立たせている。

 『GOAL』では「NXGN Jリーグ」の8月度月間最優秀若手選手に中野を選出し、インタビューを実施した。(インタビュー日:9月26日 聞き手:上村迪助/GOAL編集部)

■世界での戦いをきっかけに奮起

20220930_NXGN_Nakano2(C)Getty images

――今季ここまでの手応えをお教えください。

以下に続く

 今季の序盤は出場時間が少なかったですが、7月頃からスタメンで試合に出ることができました。そこでしっかりと自分自身でチャンスをつかんだと思います。本当に身体もすごく動いていて良い感触なので、あと4試合ですけどそれを続けてやっていけたらと思います。課題としては、まだまだ技術面でイージーミスなどが多いので、そういうところを練習からもっと突き詰めてやっていけたらいいかな、と思います。

――おっしゃった通り、7月から先発が続いています。シーズン序盤からご自身の中で変化した部分があったのでしょうか?

 (モーリスレベロトーナメントで)U-19日本代表に行って世界との差を感じました。それで本当に海外で活躍するためには僕自身もっともっと技術を高めたり、体を大きくしたり、そういうことをやっていかなければならないと思いました。

※モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)は5月31日から6月11日かけてフランスで開催。日本はアルジェリア(1-0〇)、コモロ(0-0△)、コロンビア(1-2●)、アルゼンチン(3-2●)と対戦した。中野はアルゼンチン戦を除く3試合でキャプテンとして先発。

――今季の鳥栖は後方から攻撃がスタートしている印象が強いです。後方の選手として、川井健太監督から要求されていることをお教えください。

 サイドバックでもパスを出したら前に顔を出すこと、『後ろはいるからどんどん前に出て行くように』と言われています。一番は守備が大事ですが、その中で前に行くということはしっかり求められているので、意識してやっています。

――今季は副主将を務め、ピッチ内外でチームをけん引する役割を担っています。この世代の選手として得難い経験だと思いますが、その立場について感じることはありますか?

 シーズン初めに副キャプテンを任命された時は僕自身ビックリしました。任命されたからにはピッチ内外でしっかり声出して、練習中に盛り上げたりすることは意識してやっています。

――福岡とのダービーマッチでは腕章を巻いてチームトップの走行距離を記録し、プレー内容も攻守ともに高いクオリティでした。しかし引き分けに終わり、試合後のピッチで強く悔しがる姿を見せていましたが、その時の思いを振り返っていただけますでしょうか。

 九州ダービーだったので、やはり僕自身中学校からサガン鳥栖に居させてもらって、その重要性も分かっていました。去年は後期に負けてしまい悔しかったですし、今年の前期も0-0で引き分けだったので、どうしても勝ちが欲しかったというのはあります。自分のプレーどうこうよりも、本当にあの試合は勝ちたいという思いが強かったです。

■三笘選手との対峙は「難しかった」

20220930_NXGN_Nakano3(C)Getty images

――直近ではU-19日本代表として9月のAFC・U-20アジアカップ・ウズベキスタン2023予選に参加されました。ラオス、グアム、パレスチナ、イエメンと実力の違う相手ではありましたが、4戦全勝22得点無失点でアジアカップ出場決定。その中で得られたことはありましたか?

 相手が日本に対してすごく引いてきて、それをどう崩すかということは僕たち自身で考えていましたし、課題だったと思います。相手が引いてきた中でしっかりゴールを量産できたということは良かったと思います。

――パリ五輪世代では中野選手ご自身も最注目の一人ですが、同年代で意識している選手はいますか?

 ポジションは違いますが、(センターハーフを主戦場とする)山根陸選手は横浜F・マリノスでも試合に出ていますし、意識も高いです。練習の意欲もすごくあります。良い刺激になっていて、『僕もやらなきゃ』という気持ちにはなります。(個人間では)そんなに連絡を取る感じではないですが、ピッチ内外でチームのためにやっているのを見て、良い選手だなと思っています。

――キャリアの中でパリ五輪をどのような大会と位置付けていますか?

 世界と戦える試合で、たくさんの人が見に来る中で、やはり活躍したいです。そこが世界への挑戦という部分ですごく大きい分岐点になると思うので。まずはクラブで活躍して、パリ五輪を目指してしっかりやっていけたらと思っています。

――9月にはA代表のキリンチャレンジカップ2022も行われましたが、中野選手は昨年3月にはU-24代表に飛び級招集され、現在A代表の注目選手である三笘薫選手などともトレーニングで対峙する機会があったかと思います。その経験が現在に還元されていることはありますか?

 (三笘選手と)一対一もやりましたが、当時からすごく速かったですし、なめらかなドリブルで止めるのが難しかったです。それが今は良い経験になっていると思います。

■幼少期のアイドルはネイマール

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――話題を移りまして、中野選手のサッカーの原点についてお聞きしたいと思います。サッカーを始めたきっかけなどは覚えていますでしょうか?

 サッカーは、3歳上のお兄ちゃんが始めた時に、一緒に始めました。小学校1年生の時です。

――ジュニア年代では思斉館FCというとこでプレーされていました。その頃はどのような指導を受けていましたか?

 本当に自由にやらせてもらいました。色々なポジションやっていたので、守備も攻撃も、どこのポジションでもできるというのはあるかなと思います。

――そこから鳥栖の育成へと進みました。鳥栖の指導力の高さは有名ですが、最初の頃に違いを感じたことはありましたか?

 みんなのレベルが高く、楽しかったということは覚えています。本当にみんな、トップチームに上がりたいという気持ちが高かったと思いますし、その中で切磋琢磨してやれたことはすごく良かったと思います。

――もちろんすべてを糧にしての現在だとは思いますが、育成年代で特に印象深かった指導者の方はいますか?

 今ユースチームで監督をやっている田中(智宗)さんです。ジュニアから見てもらっていて、僕もユースに上がったタイミングで一緒にやらせてもらって、本当に色々なことを教えてもらいました。僕の調子があまり良くない時期があって、その時も声を掛けてくれて。そこからトップの練習参加もできたので、本当に恩人だと思います。

――また話題が移ってしまいますが、幼少期の頃の思い出として、当時憧れていた海外のスターなどはいましたか?

 ネイマール選手は憧れていましたね。小学校、中学校くらいの頃、僕は前目のポジションをやっていたので、その時は憧れていました。

――今現在気になっている海外のチームはありますか?

 今はマンチェスター・シティの試合などを見ます。サイドバックが内側に入ってプレーしているので、少し今の鳥栖に似ているかなと思うので見ています。

――サッカー界では海外も含めてさまざまな世界が広がっていますが、かなり先の将来まで含め、キャリアの中で目標としていることをお教えください。

 やはりまずはクラブに貢献すること。そして、A代表に入って活躍することもそうですし、海外でもプレーして活躍したいと思っているので、そこを目指して頑張っています。(海外のリーグでは)オランダは結構好きです。でも最終的にはイングランド、プレミアリーグでプレーしたいと思っています。

――最後に、ファン・サポーターの方々へのメッセージをお願いします。

 残り4試合、ホームでは2試合ですが、しっかり勝ち切れるように頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!

――ありがとうございました。

 ありがとうございました。

■プロフィール

DF 13 中野伸哉 Shinya NAKANO
2003年8月17日生まれ。173cm/64kg。佐賀県出身。利き足:左。思斉館FC-鳥栖U15-鳥栖U18を経て2021年7月にトップチーム正式昇格。Jリーグデビューは2種登録中の2020年8月1日で16歳11カ月15日のクラブ史上最年少出場記録を保持。J1通算64試合出場、ルヴァン杯通算9試合出場(2022年9月30日時点)。

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