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【NXGN】ヴィトール・ローク:ブラジルサッカー界が見出したニュー・ロナウド

およそ30年前、ブラジルのサポーターはクルゼイロにいた10代のストライカーに魅了されていた。この選手はすでに国内でも南米大陸の試合でも常に輝きを放っていた。

そう、フェノーメノとして有名なロナウド・ナザーリオのことだ。

16歳の頃にデビューしたロナウドは、クルゼイロのトップチームにいた1年間、ほぼ1試合に1点のペースでゴールを稼ぎ出していた。そしてヨーロッパに飛び立ち、時代を代表するスター選手へとなっていった。

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それから時代は移り変わり、ミネイロン(クルゼイロの本拠地)に同じような興奮を呼ぶアタッカーが現れるまでに、ほぼ30年を要した。

2019年にヴィトールがクルゼイロにやってきたときは、大きな議論を呼んだ。

アメリカ・ミネイロのアカデミーに10歳の頃から所属しており、クルゼイロがまだ子供だったヴィトールにオファーを出したことを非難され、契約のオファーを出したことを訴えられたのだ。

だが、それから順調に成長を続け、ヴィトール・ロークが2021年にトップチームに加入すると、すぐにロナウドと比較されるように。フェノーメノ自身が「彼はそれだけの高みに羽ばたくだろう」とさえ語っている。

そんな賛辞を聞くことができたのは、この17歳が7試合で6得点を決め、絶好調だったときのこと。だが、ロナウドと同じく、クルゼイロでの活躍はあまり長くは続かなかった。真価を十分に発揮する前にクラブを去ってしまったからだ。

ヴィトールは、クルゼイロのライバルクラブであるアトレティコ・パラナエンセに移籍。これによって、自身がクルゼイロに加入したときと同じくらいの議論を呼んだ。

それだけの選手として、アトレティコ・パラナエンセは2022年4月、クラブ記録の440万ユーロ(約6億1500万円)を支払いヴィトールと契約した。そしてヴィトールはすでに投資に見合う活躍を始めている。

この契約が締結された6週間後、ヴィトールはアトレティコの最年少リーグ得点記録を塗り替え、1か月後のコパ・リベルタドーレスではパラグアイのクラブ・リベルタを相手に同じくクラブ最年少得点記録を更新してみせた。

ヴィトールはワイドでプレーすることができるが、ベストポジションはセンターFWだ。中央ではフィジカル面の欠点をスピードやインテリジェンスあふれる動きで補うことができる。さらに落ち着きのあるフィニッシュ能力は経験の少なさを感じさせない。

そのヴィトールを現在アトレティコで指導しているのが、ロナウドのキャリアでおそらく最も重要な時期をともにしていた、ルイス・フェリペ・スコラーリなのだ。「要求すれば彼は何でもやるが、最も適したポジションは9番だね」とヴィトールについて語る。

「そのエリアでどうプレーするべきか分かっている。コンスタントにスペースを見つけることができ、いろいろな方法で上手く試合に絡むことができる。私の現役の頃にマークしたくなかったタイプの選手だ」

「彼は著しく成長し、ブラジルにたくさんの喜びをもたらす選手になるだろう。彼のプレーするポジションで成長し続けるかどうか、見ていこうじゃないか」

この「ニュー・ロナウド」が欧州に飛び立つまで、スコラーリはどれほど同じチームにいられるのかはよく分からない。

なぜならレアル・マドリーがすでにこのティーンエージャーに興味を示している。マドリーのようなビッグクラブで研鑽を積むことになれば、ブラジル南東部のティモテオという小さな町で育った少年にとって非常に大きな旅になることだろう。

ヴィトールの父フベナールは「ロナウドが息子のことを絶賛していることは、本当に嬉しいよ。それに、息子がフェノーメノの歩んだ道を追い続けていることもね」と将来に期待を寄せる。

フェノーメノを追うにも、道のりは長いだろう。しかし、ヴィトール・ロークはどれだけ長い旅路になっても、高みへ羽ばたこうとするはずだ。

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