Zidane Iqbal NXGN GFXGOAL

ジダン・イクバル:ポグバ並の期待を寄せられる注目のティーンエージャー

ファーストネームが目立つジダン・イクバルだが、期待は天井知らずに高くなっている。サッカー史上最高のレジェンドの一人と同じ名前を持つことは簡単なことではない。マンチェスター・ユナイテッドのアカデミーでスター選手になるのに十分な素質を持っている選手であってもだ。

だが、出場した最初のプレシーズンマッチ2試合から判断すれば、イクバルには有名になるチャンスがあるかもしれない。

まだ彼のキャリアは始まったばかりだが、この19歳はすでにユナイテッドのエリック・テン・ハーグ監督の前で強い印象を残し始めている。もちろん何百万人ものファンも、リヴァプールやメルボルン・ヴィクトリー戦での動きを数週間に渡って見ていた。

以下に続く

イクバルが9歳でユナイテッドにやって来て以来、常にそのパフォーマンスは注目に値するものだった。

名前も関係していると思われるが、トップチームデビューを飾る前からサポーターの間で名の知られるような、珍しい選手だった。そんなイクバルのデビュー戦はチャンピオンズリーグのヤングボーイズ戦で、終盤に途中出場を果たしている。

彼の能力への期待感は、ユナイテッドがタイやオーストラリアに遠征に行くとますます強まった。ソーシャルメディアの動画やプレー集が、その期待をさらに熱狂的なものにした。

イクバルを取り巻く興奮は、あの早熟なMFがクラブのアカデミーから誕生したときに匹敵するレベルだ。そう、ポール・ポグバのことだ。ファンは選手を見ればクオリティを理解できるし、イクバルの才能は否定しようがない。

ユナイテッドはこの超新星をプロテクトしようと努めており、テン・ハーグが監督就任後初の遠征に彼をすぐ参加させたのは、イクバルの実力を示すものである。そして並外れたパフォーマンスによって、彼を無視することはできなくなった。4-1で勝利したメルボルン・ヴィクトリー戦で見せたドラッグバック・ターンはSNSを中心に話題となった。

だが、テン・ハーグにとって最も明るい話題は、彼の落ち着きぶりだろう。ボールに対して強く当たり、相手を巧みにくぐり抜けるが、そうしなくてもよいときをわきまえるインテリジェンスを持ち合わせている。

テン・ハーグがユナイテッドに浸透させようとしているように、ポゼッションを維持することにも長けており、思慮深くインテリジェンスにあふれたボールの扱い方ができる選手だ。

イクバルの勇敢さも飛び抜けた才能のひとつで、同じロッカールームにいるトップチームのプロ選手たちの注目を集めている。また、ボール奪取に自信があり、チームメイトがプレッシャーを緩和しながら試合を進められるように、選択肢を提供し続けることができる。

ただし、年齢別ユースチームでそれを実践するのと、トップレベルの環境でやるのとでは全く別のことだ。だが、バンコク遠征で行われたリヴァプール戦(4-0)でテン・ハーグがイクバルにチャンスを与えると、気合いで負けた様子を一切見せなかった。

このティーンエージャーは後半に途中出場したが、明らかに印象に残るプレーをしたがっていた。繰り返し深いエリアに入っていき、プレーに関与しようとした。常にリヴァプールのユニフォームに囲まれていたが、イクバルはそれをかわしてボールをキープし続けた。

パキスタン人の父とイラク人の母を持つイクバルの未来を、ユナイテッドは早くも確約している。2021年4月にイクバルは初めてのプロ契約を結び、さらに今年6月には長期契約を結んだ。これによってイクバルはクラブに2025年まで残ることができ、さらに12か月延長することもできる。

彼の才能と、イングランドの「ビッグ6」でプレーする珍しいアジア系英国人としてのマーケット性は、クラブ以外の様々なところでも認識されている。スポーツウェア大手のプーマは、イクバルがプロになる数週間以内にスパイクの契約を結んでいる。

一方イラクは、この若手選手を代表に組み入れることに成功した。イクバルはイングランド代表になることもできたし、マンチェスター南東のウィアレイ・レンジで育った自身のことを「誇り高きマンチェスター人」と称しているが、イラク代表を選択したのだ。

地元チームのセール・ユナイテッドでプレーしていた頃から、ユナイテッドはイクバルの能力にかなり早い段階から注目していた。イクバルは、ライアン・ギグスやデイヴィッド・ベッカムといったユナイテッドのレジェンドがその才能を磨いた、伝説の練習場「ザ・クリフ」に連れて行かれたのだ。

イクバルの基本的な技術は、5人でのゲームを終えた後で父アマルと行ったシュート練習に由来するものだが、ユナイテッドユースのコーチ陣は彼を育成する上で確実にいい仕事をしてきた。

ラルフ・ラングニックはイクバルの成長に感銘を受け、テン・ハーグは彼を早くからトップチームの練習に加えていた。

イクバルはテン・ハーグの好むタイプの選手のように見えるが、チームがイングランドに戻ってからは、才能をピッチで発揮するのに少しの時間を要するだろう。オランダ人監督はすぐに移籍マーケットに働きかけ、クリスティアン・エリクセンを獲得し、ドニー・ファン・デ・ベークもエヴァートンへのローン移籍から戻ってきた。さらに、フレンキー・デ・ヨングも狙い続けており、中盤での競争は激化するだろう。

つまり、イクバルが与えられた「55」という背番号は、ユナイテッドのスカッドにおける現在の立ち位置を公平に反映したものだ。一方、インスタグラムのアカウント名『@z10dane』は、サッカー選手として、ヒーローとまではいかないにせよ、彼の持つ野心を知るいい材料だ。

さて、イクバルの将来はどのようなものになるだろう。「無から有を生み出すことができる」と評されているが、当面のところはローン移籍が論理的に適した次のステップになるだろう。

だが、遠征で好印象を残した今、テン・ハーグが「マン・Uのジダン」をしばらくそばに残しておきたいと考えてもおかしくないはずだ。

【2022-23】プレミアリーグ全試合配信はSPOTV NOWだけ!日本語実況解説は毎節最大6試合。こちらから登録

広告