日本サッカー協会(JFA)は18日、なでしこジャパン(日本女子代表)のニルス・ニールセン新監督の就任会見を行った。
なでしこジャパン初の外国人指揮官となったニールセン新監督。会見に出席した佐々木則夫女子委員長は同監督の人事にあたって、人柄を高く評価したと明かした。
「世界から日本の女子選手たちが非常に高い評価を受けている中で、これまで『日本人は日本人指導者が合っているのではないか』という考え方でした。しかし今回、さらに(視野を)広げて探した中で、海外に目を向けました」
「(ニールセン新監督は)人間性が豊かで、いまのなでしこを熟知し、課題を把握しています。この監督に『ぜひ成功してほしい』と思える人間味のある方です。ニールセンさんに、チャンピオンになってほしいと思い、オファーをさせていただきました」
新監督は報道陣から質問を受けると、その都度記者の目を見ながら真摯に回答。佐々木女子委員長とも笑顔で談笑するなど、会見中にもその人柄が垣間見られた。
53歳のデンマーク人指揮官は、1993年からオーデンセBKのU-17男子で監督としてのキャリアをスタートさせた。その後、2013年から2017年までデンマーク女子代表監督を務め、同国をFIFA欧州女子選手権2017で準優勝に導いている。
スイス女子代表などを率いた後、昨季からはマンチェスター・シティWFCのテクニカルダイレクターとして活躍していたが、監督業への熱い想いから、再度監督へ転身。その直後に、なでしこジャパンが新監督を探している情報を聞きつけたという。
「日本のようなチームを率いることが夢だった」と語るニールセン新監督だが、監督を目指したきっかけは、若かりしころの受難が関係していた。
「生まれはグリーンランドで、小さな村だった。その後、家族とともにデンマークへ移り住んだ。もともとはプレーヤーだったが、(背中の)負傷によってその道を諦め、20歳くらいからコーチを始めて、2010年ごろの日本女子サッカーの成長にも刺激を受けていた」
大けがにより、プレーヤーとしての道を断たれたときには大きな怒りがあった。それでもサッカーに関わっていたいと、コーチを目指すプログラムに参加。そこで「監督の方が向いている」と自身の適正に気がついたという。新監督は、目指すべきサッカーの一端を明かしている。
「一つのチームにいろいろなタイプの選手を選ぶ。まずは一人、一人がスキルを発揮できることが重要。ヘディングが得意なら、どんなときでもヘディングをするような選手だ。何ができないかではなくて、何ができるかで私は選手を選ぶ。ただしスタッツだけではない、人を見て選ぶだろう」
自身の性格については「ポジティブ」と表現。どんなときでも対話を恐れずに、正直な姿勢で選手たちと向き合っていく。
ニールセン新監督は選考についても言及。「やりたい放題やるような若手のクレイジーさは必要であり、リーダーシップを発揮できる経験を持った選手も必要だ。日本の選手は理解力が優れていて、パスサッカーとはどういうものか、どうすれば相手にボールを奪われずに、動かせるかを分かっているのは、育成プログラムの成功だろう。ドリブルやシュートでも予測の力が優れている。ただそれは一人、一人の素質であり、融合させる必要がある」と若手とベテランを組み合わせたチームで、パスサッカーを目指すようだ。
今後、ニールセン新監督は欧州を拠点に活動。初陣は2025年2月にアメリカで行われる『2025 SheBelieves Cup』のオーストラリア女子代表戦となる。