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「まだファン・サポーターの皆さんに認めてもらえていない」。J復帰のFC東京・遠藤渓太の決意/インタビュー

 遠藤渓太は、横浜F・マリノスの下部組織から2016年に18歳でトップ昇格後、切れ味鋭いドリブルを武器にアタッカーとして活躍。年代別代表でも結果を残して日本代表入りも果たしている。19年には横浜FMの15年ぶりのリーグ優勝に貢献した。20年夏にブンデスリーガ1.FCウニオン ベルリンへの移籍を叶えて順風満帆のキャリアを積んできた。海を渡ってさらなる飛躍が期待されたが負傷もあり出場機会を得られず、レンタル先のブンデス2部・ブラウンシュバイクでも思うような結果は残せなかった。しかし、まだ26歳。苦い経験をしたからこそ見えたことがある。

■もっと貪欲にチャレンジしなきゃいけない

 青赤のユニフォームをまとって味の素スタジアムに初めて立った。2日のJ1第2節・広島戦で左ウイングとして先発出場し、70分までプレーした。チームは1-1と開幕から2戦連続のドローに終わっている。遠藤は本来のらしいプレーを出し切れぬままの交代となり、悔しさと次への課題を手にしたという。

――前節・広島戦ではどんな意図を持って試合に入りましたか?

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 スタートから飛ばしていこうと入りました。ホーム開幕戦だったのでファン・サポーターの方々のためにも自分らしいプレーを見てもらいたかった。ゴールやアシストなど得点に絡めればもっと良かったですけど、まだ難しかったです。

 ドリブルや1対1で仕掛けるシーンがあまり作れませんでした。塩谷(司)選手とのマッチアップでもいい形でプレーできず、結果的にシュートも打てなかった。もっともっと貪欲にチャレンジして、改善しなきゃいけないと感じた試合でした。

――開幕前のクラブオウンドメディアでは、ドイツでインサイドハーフでの出場が多かったため持ち味のドリブルが「錆びついている」とおっしゃっていました。その点はどのくらい戻って来ましたか?

 まだまだ「錆びている」と思います。相手を抜き切れない場面や、仕掛けるシーンを作り出せていないという意味で、僕自身に問題があると思います。もっと自分のところにボールを集めて、いい形で仕掛けるシーンをもっと作れれば。自分としては場面、場面で良いチョイスをしているつもりなんですけど、それを「遠藤、全然仕掛けないじゃん」と捉えられることもあります。そこの使い分けは今後模索していきたいところです。

――私自身は、遠藤選手が今までのFC東京にはなかったアクセントだと感じました。ゴールへ向かうための時間をつくる、間(ま)を活かすといった。

 試合展開を読むじゃないですけど、前の3人だけで攻撃を終わらせられたら一番効率が良いのですが、場面によっては後ろの押し上げを待ってプレーする必要性もあります。でも前回の試合に関しては、そのおっしゃる「間」を作り過ぎたかなとも感じたので、もっとゴールに直結するシーンがあっても良かったと思います。

――広島戦で出たチームとしての課題は?

 ディエゴ(オリヴェイラ)が結構無茶なボールでも背負えるという意味で、詰まったり、行き場がなくなったりしたらロングボールを蹴るシーンが多かったですね。でもそれは蹴る側の選手の問題だけじゃないと思います。チームとしてショートパスをつないでビルドアップしていくと決めているのであれば、もっと周りの選手も要求してボールを受けなきゃいけない。ディエゴにボールを届けるのは本当にどうしようもない時で、ファーストチョイスがそれになってはいけないと思います。

――なぜロングボールが多くなってしまったのでしょう?

 ボールを受けようという意志を持ってそのポジションにいるのか、ただいるだけなのかっていうところもあるのかなとは思います。でも、実際のところは分からないですね。僕はどちらかというと相手の最終ラインで待っている側で、ビルドアップに参加する側ではないので。ファーストチョイスでロングボールになるということは、つなぐよりもそちらを選んだという判断だと思いますし、もちろん(その判断が最適なら)無理につなぐ必要はないです。結局そこは意識、そのシーンでの判断なのかな、と思います。

――連係を取りやすい選手はいますか?

 やっぱり荒木(遼太郎)選手ですね。縦パスが入った時に、すぐターンして前を向いてくれるので。サイドで待っている選手からすると、ああいう選手とタイミングを合わせてやることが一番大事だと考えています。

――選手同士の会話は?

 しますね。同じサイドの(バングーナガンデ)佳史扶とは特に。でも、久しぶりにJリーグの応援の中でやると声って届きづらくて。応援が切れたときにいろいろ会話しました。

――右サイドは仲川輝人選手で横浜FM優勝時の形です。当時を意識しますか?

 そこはあまり意識していません。僕たちは押し上げや組み立てにあまり参加しないので、そのポジションで求められていることは当時とあまり変わらないですし。

――3年半日本を離れてのJ1リーグ戦でした。以前のJリーグとの変化を感じましたか?

 まだ1試合だけなので、変化は分からないです。でも、やっぱり広島のスリーセンターバックは当時と変わらず、固くて強かった印象ですね。

■神戸戦は左サイドの活性化が必須

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――次節は、昨季のJ1覇者・ヴィッセル神戸との戦いです。広島戦の前には、「相手は関係ない」とおっしゃっていましたが、神戸戦も同じですか?

 正直どういったチームかまだ分からないです。ただ、相手とどういう展開になっても、勝てたら一番いいですよね。この2試合、勝ち点1という最低限の結果は手に入れましたけど、優勝を目指すのであれば、勝ち点4を失ったと考えることもできます。そういう意味では次の試合がすごく大事だと思っています。

――神戸に警戒する選手はいますか?

 ポジション的にマッチアップする酒井高徳選手は、簡単な相手ではないです。だからといって、負けたくはないです。日本代表でやってきた選手も多いチームですし、チャンピオンでもある。自分たちがそこに挑む形になると思いますし、守備でも攻撃でも後手に回らないようにしたいです。

――神戸戦でカギになるチームメートは?

 誰か…難しいですね。荒木選手、というのは当たり前ですし。ただ試合のポイントとしては、自分のポジションとサイドバックの選手の関係性が大事になってくると思うので、(バングーナガンデ)佳史扶かな。広島戦では合わなかったところもあるし、佳史扶もそう感じていると思います。

 佳史扶の良さやプレースタイルを理解して、彼がどうすればやりやすいかを考えた上で自分もプレーするべきだと思います。佳史扶もどの位置でボールを受けて、どんなターンをしたら僕のところまでボールを届けられるかということを考えて、お互いの特徴を活かしながらプレーすることが大事になると思います。

――最後にFC東京のファン・サポーターへ今、伝えたいことを教えてください。

 期待をされていると感じます。でも、まだ認めてもらえるようなプレーができているとは思っていません。タロウ(荒木)に負けないように、数字を残せるように頑張っていきます。

聞き手:吉村美千代(GOAL編集部)/写真:谷山央人/編集:砂坂美紀

【試合情報】
FC東京 vs ヴィッセル神戸
3月9日(土)16 :00キックオフ
味の素スタジアム
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