20230425_Nagoya_Shonan(C)Getty images

名古屋の得点取り消しで湘南にPK。元国際審判員・家本氏は妥当と判断も「だったらなんでもっと早く…」

明治安田生命J1リーグ第9節の名古屋グランパスvs湘南ベルマーレでの判定について、元国際審判員の家本政明氏が見解を示している。『DAZN』の「Jリーグジャッジリプレイ #9」で語った。

■試合を分ける二度のVAR介入

23日に行われた名古屋と湘南の一戦では、0-0だった29分に湘南がチャンスを創出。右サイドの石原広教が入れたクロスをタリクがスルーすると、米本拓司の足に当たったボールがボックス内にこぼれる。すかさず反応した阿部浩之が右足でネットを揺らした。

しかし、この場面では主審がオフサイドと判断して笛を鳴らす。VARチェックでも覆らず、湘南の得点は認められなかった。

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さらに、この試合では2-1で名古屋がリードしていた75分にも物議の判定。今度は75分に名古屋の攻撃からマテウスがネットを揺らしたが、その前のプレーで山田直輝が名古屋のボックス内で中谷進之介に倒されていたとして、VARオンフィールドレビューが実施された。それにより、マテウスの得点は取り消されたうえに湘南のPKが指示され、キッカーの町野修斗が確実に得点。結局、2-2のドローで決着している。

試合後にフラッシュインタビューに応じた長谷川健太監督も「なかなか難しい判定だと思いますけど、映像を見る限りでは、PKではないんじゃないかなと思いますし、オフサイドも微妙な判定だったと思います」とこぼしていた。

■どちらの判定も妥当と見解

これらの場面について、まず29分の場面を確認した家本氏はオフサイドで妥当との見解を示す。「印象としては(米本のプレーは)ディフレクションではないと感じる人がすごく多いと思うし、僕も最初の印象は『ん? 』って思った」と明かしつつも、その理由を説明した。

「(タリクが)プレーすると思ったらスルーをした、それによって(米本の)身体が『あ! 』という反応をしているんですよね。これはディフレクションの種類に入るとFIFAもJFAも考えています。ボールの距離とスピード、浮いてるのか浮いていないのか。プラス、そこに関わっているアタッカー側の選手が動いたのか動いていないのかは大きなポイントです。今のディフレクションの考え方からするとまさにそういうシーンに当たると個人的には思います」

該当の場面では、オフサイドの根拠として米本のプレーが“意図的”か“ディフレクション”かが議論となっていたが、家本氏は「FIFAもJFAもその解釈の下で徹底している最中で、まさにこれは(ディフレクションと判断される)代表的なシーンだと思います」と補足している。

さらに、湘南がPKを得た場面についても「ペナルティー致し方なしだという印象」と山田へのファウルそのものには異論を挟まず。続けて「(中谷の足が山田の)足の根元の深いところに結果的に入っているので、避けようがないんですよね。この接触を誰が引き起こしたのかというと、残念ながら映像を見ると中谷選手」とし、ダイブとの指摘も入りかねない手の動きに関しては「避けようがないと思うので、左足はどちらかと言うと避けようというふうに解釈するし、手も回避行動のように解釈します。ただし『いや違う』と言う人は違う解釈をするということですかね」と語った。

一方で、PKに該当する事象からマテウスがネットを揺らすまでプレーが途切れず、その時間の長さも混乱を生んだ。家本氏は、その点については改善の余地があると指摘している。

「割と早く『あ、PKだ』と思うので、だったらなんでもっと早くストップザゲームしなかったのかと。40秒の間になんとかできないのかなと。結果的に『ゴールが生まれた俺たちの喜びを返してくれよ! 』とか、『スーパーゴール返してくれよ! 』という気持ちもすごく分かる。明らかに反則行為だと思うので、結果論ですけどストップザゲームをなんとかボールがゴールに入る前にいけなかったのかなという印象はあります」

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