プロ初年度に優勝を経験したことを「出来過ぎですよね」とはにかむが、決して満足はしていない。クラブで感じたプロの衝撃、代表活動、カタール・ワールドカップ。2022年のすべての刺激を糧にする19歳の今を直撃した。(インタビュー日:12月27日 聞き手:小津那/GOAL編集部)【取材協力=アディダス ジャパン】
(C)GOAL■「想像だけでもまだまだ足りない」
――カタール・ワールドカップでの日本代表の活躍は大きな話題となりました。W杯を見て、何を感じましたか。
まずは一ファンとして本当に楽しみました。そしてやはり「自分もいつかこの舞台に立ちたい」という思いがより一層強くなりました。
――自分がここでプレーしていたら…と考えた部分はありましたか?
「ここに立ったらどうなるんだろう?」と想像はしていましたが、多分想像だけでもまだまだ足りないです。同じポジションの選手を意識的に見ていましたが、あのW杯の緊張感の中で、こんなに良いパフォーマンスが出せるということが、もう、まずすごいなと思って。だからこそ自分も経験を積んで自信をつけていかないと、と感じました。
――スペインのガビ選手は18歳、ペドリ選手は20歳。同世代がW杯でプレーしていました。彼らをどのような目線で見ていましたか?
僕はスペイン代表が結構好きで。ポジション的にも身体的にも似たような選手たちですし、注目していました。とにかく、あの舞台でいつも通りプレーできるメンタリティーですね。W杯だからと気負い過ぎず、普段バルサでやっているようなプレーができる。その部分でも、彼らは進んでいると思いました。
あと、クロアチアのモドリッチ選手がすごく印象的でした。前回大会もすごかったですが、4年後、あれから4年経った今でもあの時以上に走れるし、クオリティも高い。自分ももっともっと積み重ねていかないと、とあらためて感じました。
――2022年はU-19日本代表にも選出されました。代表活動を通して感じたことはありましたか?
海外遠征に3回行かせてもらいました。一つはアジアの大会で、もう二つはヨーロッパのチームと戦いました(※)。自分たちが普段やっている“日常”とはまったく別だと感じるチームもありましたし、自分たちが目指すべきチームもあったし、本当にいろんな経験ができました。1回目の海外遠征より2回目、2回目より3回目とチームとしても個人としてもよい積み重ねができたと思います。でも、もっともっと自分のレベルを上げていかないと、さらに彼らとの差が生まれてしまう。だからこそJリーグで試合に絡んで高いレベルの日常を過ごせるようにならないといけないと思います。
※5月・モーリスレベロトーナメント(フランス)、9月・AFC U-20アジアカップウズベキスタン2023予選(ラオス)、11月スペイン遠征
――海外のチームとの対戦で感じた課題と収穫を教えてください。
課題はやはりフィジカル面の向上ですね。ここは継続的に向き合わないといけない。プレー面では、ポジショニングや判断の速さ。収穫としては、前を向けるプレーです。自分のところで一度リズムを変えたり…まあ多くはなかったですけど、フランスでは何度かそういうシーンがあって少し自信になりました。
■プロはすべてがまったく違っていた
――サッカーを始めたころのお話を聞かせてください。川崎市出身ですが、なぜ横浜FMを選んだのでしょうか?
僕がサッカーを始めたのは年長の頃、5、6歳ですが、8歳上の兄がサッカーをやっていて、家の前でボールを蹴って自分も一緒に遊んでもらっていました。
本格的にサッカーをやろうとなったときに、母親がF・マリノスのスクールを見つけてきてくれました。体験してみるととても楽しくて。スクールに入ってから少年団に入ったんですが、 少年団の周りはやっばり川崎市なので、フロンターレのスクールに行っている子たちが多かったです。でも、僕はその時点でF・マリノスのスクールに入っていましたし、楽しくて好きになっていたので、それからずっとです。
――スクールを経て横浜FMプライマリー、ジュニアユース、ユースと順調にステップアップしてきました。育成年代の指導で一番印象に残っていることはありますか?
素晴らしい指導者の方々に教えてもらいました。プレーもそうですし、それ以外も学びました。一番と言うと難しいのですが、やはりプライマリーに入って、今までの自分とはまったく変わりました。入った瞬間から自立を求められましたし、サッカーだけじゃなく、人間性の部分も指導してもらいました。プライマリー時代のコーチの教えは自分の中で一つのキーになっています。自分の中の軸をはっきりと認識させてもらいました。「自分の大きな目標を達成するためには、誘惑に引っ張られないように」とは常々言われてきたことです。それは今でも自分の中にあります。
――2022年はプロ初年度でしたが、アカデミー時代との違いはありましたか?
もう、まったく違いました。プレースピードだったり、体の強さだったり。すべてのレベルが本当に違っていました。それが衝撃で。アカデミーの頃に比べると、自分の良さを出していくことが簡単ではありませんでした。
――チームは優勝しました。横浜FMはどこが強かったと思いますか?
確実なスタイルを持っているところだと思います。どの相手にも自分たちのサッカーを貫けば、自ずと結果がついてきました。そこは自分たちにしかない強みだと感じました。
――優勝を争った川崎Fは、攻撃的なスタイルが横浜FMと比較されます。実際にプレーして、感じたことはありますか?
等々力の試合で15分ぐらい試合に出させてもらいました(※)。雰囲気もいつもと全然違って緊張感というか…ああいう雰囲気を味わえただけで今後に繋がると感じました。川崎Fには本当にうまい選手が揃っていました。マッチアップしたどの選手も技術が高く、判断がよくて。自分がボールを持っている時も、“そういう感覚でプレーできる選手”が守備に来るっていうことが、ちょっとストレスに感じるところもありました。
※2022年8月7日J1第24節、1-1で迎えた82分に交代出場。試合は90+9分にジェジエウが決めて横浜FMは1-2で敗れた。
(C)Adidas Japan■去年以上にできることを増やす
――アカデミー時代はどんなスパイクを履いていましたか?
小学校の時とかは他のメーカーも履きましたが、中学校3年生からはずっとアディダスだけです。
――COPAを着用されています。ずっとCOPAですか?
別のスパイクを履いていた時期もありますが、U-19日本代表の合宿でCOPAを試してみたらすごく感触がよかったんです。自分に合っているなと感じました。足にピタっとフィットしますし、革が柔らかいので窮屈感がない。履き心地は大切なポイントです。
あとボランチ、中盤の選手が履いているイメージがあって、それでCOPAにしてみようかなって思っていたのもありました。
――新しいCOPAは機動性が増しているとのことです。感触は?
以前のものに比べて、さらに軽くなっていると感じました。細かいステップを踏む時にあまり力がいらないというか。軽くステップを踏めるところはすごくいいです。
――2023シーズンに向けて、チーム、そして個人の目標は?
チームとしては連覇を目標にしています。対策されるなど、難しい時期もあると思いますが、全員で乗り越えることで、また強くなれると思います。いろんなことが想定されますが、チームとして上のレベルに行けるようにしたいと思います。そして、個人としてはもっと試合に出場したいです。Jリーグはもちろんですが、カップ戦もありますし、試合にどんどん絡んでいきたいです。そして、去年以上にできることを増やしていきたいです。
――最後に、今後のご自身のキャリアで目指すものを教えてください。
将来的にはA代表に入りたいです。それこそW杯で活躍もしたい。最終的にはやはり、海外やヨーロッパでプレーしてみたい気持ちもあります。そのためにも今はまずJリーグでしっかりといい結果を残すこと。コツコツと積み上げていくことが大事だと認識しています。
Profile
MF 山根 陸(やまね・りく)
2003年8月17日生まれ、19歳。173cm/65kg。神奈川県川崎市出身。津田山FC→横浜F・マリノスプライマリー→横浜FM・Jrユース→横浜FMユースを経て、2022年にトップ昇格。J1通算11試合出場。
(C)Getty Images■ 「コパ ピュア(COPA PURE)」
日本のサッカースパイク市場において、中高部活生を中心に高い人気を誇るレザースパイク。選ばれる背景にある着用時の履き心地に加えて、今回はプレー中のフィット感へのニーズに着目。
『コパ』らしいシンプルなデザインはそのままに、「進化版フュージョンスキン」、「トリプルフォーム構造」、「トルションフレーム」の3つの新たなテクノロジーを採用。あらゆる無駄を省きながら、プレーヤーがレザースパイクに求める柔らかなボールタッチはもちろん、更なる軽量化と、今までにない圧倒的なフィット感を実現。
履かず嫌いはもったいない、『コパ』の良さを純粋に昇華したモデルになっている。