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塩貝健人の獲得にビッグクラブも動いていた? NEC強化担当が明かす移籍の舞台裏

エールディビジのNECナイメヘンで強化担当を務めるカルロス・アルバースTD(テクニカルディレクター)が、U-19日本代表FW塩貝健人獲得の舞台裏を語った。

NECは昨夏、横浜FCから現在27歳FW小川航基、ファジアーノ岡山から20歳MF佐野航大を獲得。そして今夏8月、2027年に横浜F・マリノスへの加入が内定していた慶應義塾大FW塩貝の加入を発表。クラブは3人目の日本人選手として迎えている。

そんなNECのアルバースTDは、クラブ公式チャンネルを通じて同クラブの補強活動について説明。「私は2017年にフローニンゲンに堂安律(現フライブルク)、AZに菅原由勢(現サウサンプトン)、そしてNECには昨年小川と佐野を連れて来ているから、日本でそれなりのネットワークを持っていることが知られるようになっただろう」と自負。さらに「我々はエールディビジの選手を獲得することがほとんどできなくなり、世界の市場、チャンスがある場所を見続けなければならなくなっている」と語った。

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日本の選手に注目する理由について、「私はまず最初にスポーツの局面を見る。日本では、選手の育成でプレースピードや技術的スキルが重視されている。時間とスペースが減り続けているサッカーにおいて、彼らのようなプレーヤーたちは非常に適しているんだ」と指摘。また、「それに彼らは非常に優れた仕事に対する姿勢、メンタリティを持っている。そしてさらに、私はテクニカル・ディレクターとして安く買って、最終的にはお金を生み出さなければならない」と続けている。

塩貝をしばらくの間視察していたと明かすアルバースTDは「日本とイングランドのU-19のインタナショナルマッチを観た2023年11月から彼のことを知っている。我々はとても活発にスカウティングを行い、たくさんの試合に足を運んでいることを示すものだろう」と語ると、「6月の上旬、私はMFを求めトゥーロンの国際トーナメント(モーリスレベロトーナメント)を訪れたんだ。だが、(試合開始)5分には健人の名前をマーカーで囲み、すぐに彼のことを追うようになった。多くを経験し、無数の試合を観てきたのなら、『これは特別なことだ』とわかるものだ。試合中に早速私のネットワークに『この選手は誰だ?』とメッセージを送ったよ」と振り返った。

本来は大学の卒業後に横浜F・マリノスでプレーする予定だった塩貝だが、同TDは「ヨーロッパでの経験から彼は考えを変えた。彼はヨーロッパに来てできるだけ早くプロサッカー界に入ることを目指すようになったんだ」と説明。また、塩貝と菅原は同じエージェンシーに所属することに触れながら、次のように続けた。

「そういう理由から、菅原の代理人からの電話で彼(塩貝)に多くのエージェントがアプローチし、多くのクラブが興味を抱いていることを知らされたんだ。我々は健人のことを知っているか、そしてオファーしたいか聞かれた。私は『1日以内にファーを届ける』と返し、それがすべての始まりだった」

「我々は彼が才能のある選手であることは知っていた。彼がNECと契約を結ぶことが明かになってから、国内外から数多くのスカウトたちから『どうやって(塩貝の獲得に)成功したのか?』と聞かれたよ。ビッグクラブも日本に向かって選手と接触しようとしたことも、このシチュエーションをより面白くさせたね」

一方で、アルバースTDはオペレーションがすべてにおいてスムーズではなかったことも告白。「この移籍期間でもまた起きたんだ。このようなニュースを予測し、自分たちもこのような選手が欲しく、選手をハイジャック(横取り)することを試みるクラブが存在する。塩貝においても、ビッグクラブが最終局面で遥かに高いサラリーで健人を説得しようとしたんだ」と加入が正式に決まるまで気を抜くことができなかったことを認めている。

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