日本代表は15日、2026年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第5節でインドネシア代表とアウェイ「ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム」で対戦する。上田綺世と谷口彰悟不在の1トップと3バックはどうなる? 帰化選手多数のインドネシア戦のポイントは?【取材・文=河治良幸】
■連勝ならW杯出場に大きく接近。移動トラブルも大きな問題なし
(C)Kenichi Araiアウェイ2連戦となる11月シリーズ、日本代表はジャカルタでインドネシアと対戦する。次の中国戦も含めて連勝を飾れば、予選突破に大きく前進するが、今回は同じく海外組を多く抱えるインドネシアと合意する形で、金曜日に試合が行われる。これまでよりコンディション調整と戦術練習に時間を取れることはメリットだ。しかも、移動トラブルで第一陣の入国が予定より遅れたり、合流にもばらつきがあった中で、そうした影響も最小限にとどめて、森保一監督が考えるベストチョイスをピッチに送り出せそうだ。
■上田不在で小川が先発か。古橋、大橋の起用の可能性は?
(C)GOALそうは言っても、これまで最終予選の4試合全てスタメンに名を連ねてきたFW上田綺世(フェイエノールト/オランダ)、センターバックの谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)という二枚を怪我で欠くことは不安材料であり、森保監督の決断が問われる重要ポイントでもある。引き続き3-4-2-1で臨むと見られるが、1トップの第一候補は小川航基(NECナイメヘン/オランダ)だ。ここまで終盤の出場が続く中でも、アウェイのバーレーン戦とサウジアラビア戦で得点しており、メンタル的な強さも折り紙付きだ。
現地の熱量は大きく、7万8000人収容のゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムはインドネシアのサポーターで埋め尽くされると予想されるが、そんな環境に関しても小川は「ここ最近のインドネシアのサッカー熱がすごいというので、サウジアラビアもすごかったですけど、それ以上の熱気があるんじゃないかな。また1つ違った雰囲気の中でやるんじゃないかなと思っているので。本当に美味しいというか、楽しみで仕方ないです」と語り、完全アウェイの雰囲気も味方につける姿勢だ。
2シャドーで全4試合スタメン起用されている南野拓実(モナコ/フランス)は小川の生かし方について「(上田)綺世と似たところがあるけど、ゴール前の動き方とかちょっと特徴が違うと僕は思っていて。航基の方が裏に動く回数が多い。そういうところを見てあげればいいかなと思う。ダイナミックな動き出し、ゴール前の体の使い方は本当ストライカーっぽい。シャドーとかスペースに動き出したところをタイミングよく使ってあげれば、良いチャンスは作れるんじゃないか」と展望する。
FW陣は上田に加えて、前回と同じく浅野拓磨(マジョルカ/スペイン)も怪我で外れているが、古橋亨梧(セルティック/スコットランド)が約1年ぶりに招集されており、インドネシア戦の出場にも期待がかかる。大学時代から知る伊東純也(スタッド・ランス/フランス)は「彼の良さは分かってますし、裏抜けだったりその一瞬のところ。ゴール前の駆け引きとか、クロスに入っていくのも上手いので。シンプルに足も速いので、裏抜けだったり。そういうとこを生かしていければ」とイメージを膨らませていた。
これまでジョーカー的な存在だった小川がスタメン起用されるのであれば当然、ベンチメンバーのオプションも変わる。基本的に3バックとボランチは固定的で、左右ウイングバック、2シャドー、そして1トップで交代カードが使われやすく、FWでは古橋はもちろん、前回から招集されている大橋祐紀(ブラックバーン/イングランド)にも、どこかで出番が回ってくるかもしれない。大橋は1トップだけでなくシャドーもできるので、久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)など、個性的なタレントが揃うポジションで、森保監督が試合の流れに応じて、どういうチョイスをしてくるか注目される。
■谷口欠く3バック。組み合わせは板倉次第?
(C)Getty Images3バックは谷口に代わる中央に誰かをはめるのか、それとも右センターバックを担ってきた板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)を中に入れて、空いた右のポジションを代わりの選手で埋めるのか。板倉は「自チームで三枚をやるとしても真ん中だし、どちらかというと、右のほうがやってなかったので、そこはスムーズに対応できるかなと思います」と語っており、板倉が中央からディフェンスを統率する形が順当かもしれない。
仮に板倉が右のままなら、左はこれまで通り町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)で、中央には20歳の高井幸大(川崎フロンターレ)か瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス)が入ることが想定できる。しかし、板倉が中央で右に誰かを加えるのであれば橋岡大樹(ルートン・タウン/イングランド)、菅原由勢(サウサンプトン/イングランド)、そして追加招集の関根大輝(柏レイソル)にもチャンスはありそうだ。ここは非常に選択肢が多く、森保監督が練習からどう評価して、スタメンを見極めるかは今後のメンバー選びにも少なからず関わってくるかもしれない。
■完全アウェイ、帰化選手多数…インドネシア戦のポイントは?
(C)Getty Images韓国人のシン・テヨン監督が率いるインドネシア側も、かつてオランダ領だった歴史があるだけに、オランダ出身の帰化選手が多く、国外組は16人、その中でも欧州組が11人を数える。特にディフェンスラインは小川の同僚であるカルフィン・フェルドンクやイタリアのセリエAで活躍するジェイ・イツェス(ヴェネツィア/イタリア)、元セレッソ大阪のジャスティン・ハブナー(ウルヴァーハンプトン/イングランド)、攻撃的サイドバックのサンディ・ウォルシュ(メヘレン/ベルギー)など、欧州組が揃う。そこに新たにインドネシア国籍を取得したケビン・ダイクス(コペンハーゲン/デンマーク)が加わり、日本戦でデビューする可能性もある。
今年帰化した選手も多く、3−1で日本が勝利した今年1月のAFCアジアカップからも主力の過半数が替わっているが、久保が「国際経験も豊富ですし、したたかなチームになっているかなと思いますけど、逆に新規の選手が多いので、ただでさえ代表ってすり合わせる時間が少ないって僕らもいつも常日頃から言ってますし、そういった部分で僕らの方が成熟したチームであるのかなと思います」と指摘するように、日本としては連携面の部分は強みの出しどころだろう。
完全アウェイであっても、日本がスタートから主導権を握り、どんな形でも最初のゴールを奪うことができれば、スタジアムの雰囲気を変えていくことができるはず。また現地の暑さと湿気は大敵だが、それは欧州組をはじめとした国外組が多いインドネシア側にも共通すること。後半は比較的、オープンな展開になってくることも想定できるが、まずは相手のターゲットマンであるFWラファエル・ストライクを抑えつつ、フィジカルの強い5バックの隙をうまく突いて、早めにリードを奪って行きたい。