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20220201_Japan_Preview1(C)Getty images

【サウジアラビア戦予想スタメン&プレビュー】サッカー日本代表、ドローも要らない理由。勝利の鍵は日本史上最強の守れる右SB

 日本代表は2月1日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でサウジアラビア代表をホーム・埼玉スタジアム2002に迎える。本大会出場に向けた山場の一戦、見どころや予想スタメンは?

■2位or3位で天と地の差

20220201_Japan_Preview2(C)Getty images

 まずは一つ、心静かに順位表を見てほしい。決戦を前に、現在の状況を確認しておこう。

【グループB順位表】(勝ち点/得点/失点/差)

  • 1. サウジアラビア(19/10/3/7)
  • 2. 日本(15/7/3/4)
  • 3. オーストラリア(14/13/4/9)
  • 4. オマーン(7/6/8/-2)
  • 5. 中国(5/7/13/-6)
  • 6. ベトナム(0/4/16/-12)

 W杯アジア最終予選グループBは全10試合のうち7試合までを終え、残すは3試合。1位のサウジアラビアの勝ち点は「19」、2位・日本は「15」、3位・オーストラリアが「14」という順番である。

以下に続く

 サウジアラビアとの勝ち点差「4」は、次の試合で勝てば逆転の可能性も出てくる差だが、あまり考えても意味がない。1位と2位には大差がないからだ。この大会のレギュレーションは上位2チームが勝ち抜けてW杯出場となり、3位がプレーオフに回るというもの。つまり2位と3位は天地の開きであり、その3位・オーストラリアとの差はわずかに1ポイントである。

 しかも来月の2連戦では、その初戦にオーストラリアとのアウェイマッチが組まれている。この予選における日本の敗戦がいずれも「2連戦の初戦」だったのも偶然ではなく、コンディション調整の難しさは欧州組の多い日本にとって大きな難題となっている。加えてこの試合では、南半球への長時間移動となるのでJリーグ組の負担も大きい(※コロナ禍の状況次第でカタール開催もある)。ホーム戦で快勝している相手だからと勝ちを計算できるゲームとは言いがたく、この試合は「引き分けでOK」のシチュエーションにしておきたいのが森保一監督の本音だろう。

 つまり、このサウジアラビア戦は、よく言われる「代表のホーム戦は絶対に勝たなければいけない」といった精神論ではなく、現実的な星勘定の上でも勝ちを強く意識するべきゲームとなる。勝ち点1のリードを保ったままオーストラリア戦を迎えたい。4連勝を飾った日本だが、特に楽観できる状況にはなっていないというわけだ。

 中国戦で快勝したことで不安も少し緩和された印象もあるが、主将の吉田麻也に加え、プレミアリーグで一段とスケールアップを遂げた冨安健洋を欠き、三笘薫と古橋亨梧という貴重な攻撃のオプションの不在は変わらず痛い。ただ、代わりとなる選手、特にCBのコンビを中国戦で試運転できたのは好材料。サウジアラビア戦が2連戦の初戦だったらと思うとゾッとするところで、この連戦に関しては対戦順が日本に味方している。

 4連勝によって過度に悲観するような状況でもなくなったのもまた確かだ。取材に応じる選手の表情も幾分穏やかになっており、DF酒井宏樹など明確に状態が上向いてきた選手がいるのも好材料だろう。さらに言えば、気候も日本に味方する。中東の選手たちにとって、日本のこの時期の寒さは異次元のもの。日本がサウジアラビアの暑さに苦しんだように、彼らは日本の寒さに苦労することになる。これもまたホーム&アウェイ方式の妙というものだけに、アウェイの借りはしっかり返しておきたい。

■主戦場は酒井&伊東の右サイド

20220201_Japan_Form(C)GOAL

「基本的には中国戦の選手をベースに考えていきます」

 森保監督はサウジアラビア戦のメンバーについてこう話す。つまり、4-3-3の基本布陣と先発オーダーはいじらない方向というわけだ。

 もちろん、こうした前日会見で指揮官が言うことを鵜呑みにはできない。たとえば中国戦前も「相手がどう来るか分からない。情報はない」と会見で言いつつ、選手には相手が中盤をマンツーマンで貼り付けてくるという予想を伝えており、実際その通りになった。ただ、答えたくない質問はサラッとかわすことの多い森保監督がスルッと答えているので、そもそも隠す必要を感じないだけと(勝手に)予想する。直前のアクシデントがない限り、スタメンは同じ顔ぶれだ。

 初戦で先発しながら、現在は出場時間が極めて限られるようになったMF原口元気が「段々とチームとして方向性や戦う姿勢、すべてにおいてあのとき(前回のサウジアラビア戦)よりも良くなっているので、あとはそれを表現するだけ」と語っていたのは象徴的で、チーム状態が上向きなのは選手たちも感じているところだろう。

 試合に向けて日本チームとしてのキーとしてまず挙がるのは板倉滉と谷口彰悟のCBコンビの“守備”や、左サイドの攻撃時の機能性ということになるだろうが、「対サウジアラビア」の視点でフォーカスするべきなのは、相手の左サイドと日本の右サイドのマッチアップだ。

 サウジアラビアの試合を観ていれば、その最大のストロングが左サイドにあることは明らか。10番のFWサレム・アル=ダウサリと小粋な左SBヤセル・アル=シャハラニのコンビは強烈で、ここから局面が打開されることがしばしば起こる。迎撃の主役となるべき酒井は前回対戦時に不在だっただけに、その復帰と復調は頼もしい要素だ。

 以前からその酒井が語っている「サイドハーフを下げさせないで守る」ことができれば、伊東純也を使ってのカウンターも生きてくる。駆け引きを含め、日本サッカー史上最強の守れるサイドバックを軸にした守備とサウジアラビア最大のストロングポイントがぶつかるサイドのぶつかり合いは、分かりやすい見どころとなる。

■時には回させる対応も必要

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 相手のポゼッションプレーに対する日本のプレッシングというのも一つの要素だが、原口が「ポゼッションに人数をかけてきて、崩しのところには人数をかけないのでそんなに怖くない」と語ったように、相手が数的有利を作りやすいゾーンでプレッシングに行っても損得勘定が噛み合わない。割り切って「回させる」時間帯も受け入れながら試合を運ぶほうが現実的だろう。

 その上で、やはりセットプレーでの一発が欲しい。この最終予選での得点力不足の大きな原因はセットプレーからのゴールが生まれていないこと。今年から菅原大介セットプレー担当コーチも迎え、テコ入れを図ってきた成果も問われる。前回の中国戦ではこれまで以上にアイディアと変化を出す姿勢も感じられたが、この勝負どころで1点が欲しい。五輪代表で多くの得点を記録してきた板倉には特に期待が掛かる。

 サウジアラビアとのホーム戦は、最終予選の8戦目にして最も重要な一戦となった。事前の準備はもちろんだが、状況に応じていかに対応していけるかが問われる90分。負けはもちろん、引き分けも要らない。絶対に落とせない第8戦が、いよいよ始まる。

取材・文=川端暁彦

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