アカデミー出身の桜の生え抜きは、2月16日のルヴァンカップで先発フル出場すると、続くJ1リーグ開幕戦にも先発フル出場。以後、コンスタントに出場を重ね、公式戦31試合出場1得点という結果を残した。
11月にはルヴァンカップのニューヒーロー賞を受賞。スポーツ配信チャンネルDAZN(ダゾーン)とパートナーメディアによる「DAZN Jリーグ推進委員会」の月間表彰でも9月のべストヤングプレーヤーに選出されている。試行錯誤しながら駆け抜けた2020年。今の気持ちを聞いた。(聞き手・文=川端暁彦)
■齊藤未月選手か鹿島の沖悠哉選手かと
――まずはこの歴史ある賞、獲れると思っていましたか?
「いや、正直、まったく思っていませんでした。(受賞の知らせを受けて)本当にびっくりしました(笑)。賞の存在は知っていましたし、一応意識はしていましたけれど、『ホンマに取れるんかなあ?』というくらいで、実際に獲れるとは思っていなかったです」
――センターバックの選手はどうしてもこういう個人賞を獲りづらいところもありますよね。
「それもあって、ルヴァンカップでニューヒーロー賞をいただいたときも『うれしいな!』」と思ったんですけど、さすがにJリーグのほうは『ないかな』と」
――逆に誰が獲ると思っていました?
「湘南の齊藤未月選手か、鹿島のGK沖悠哉選手のどちらかかなと思っていました」
――ただ、今シーズンを通じての成長という部分で手応えも大きかったのではないでしょうか。
「今年は本当に守備の部分での成長を自分自身が感じることができていました。昨シーズンに比べて、ディフェンスの力は格段に上がったかなと思いますし、それを評価してもらえたのだと思っています」
――先発を外された後にも気持ちを落とささない、気持ちの波をなくしていく部分でも成長があったのでは。
「今年は絶対に、本気でコンスタントに試合に出続けるんだという目標を立ててシーズンに臨んでいたおかげだと思います。やっぱりチームで試合に出場しないことには代表だって見えてこないと思いますし、オリンピックは常に意識しているところやから、試合に出続けないといけない。その思いが自分の中であって、どういう状況に置かれても、その気持ちを今年1年間、貫き通せたことが良かったと思っています」
――昨季とは違うぞという手応えはどの辺りから感じていましたか。
「夏ぐらいですね。あの辺りから少しずつ試合にずっと出ている中で気持ちが変わってきて、『自分がもっと引っ張らないといけない』というのも感じるようになっていましたし、それは去年までの感覚とは違ったものでした。そうですね、やっぱり今年の夏、そこで違いを感じるようになっていました」
――去年までの自分と今年の自分を比べた時に「ここは俺、変われたな」という部分はありますか?
「やっぱりヘディングの部分ですね。去年に比べて非常に自分の中で強くなった手応えがあります。ずっとディフェンスの選手ですけど、そこまでヘディングの強さがあるとは思っていなかった中で、今年は競り負ける回数を結構少なくできていると思っていて、そこは自分の中で非常に良くなったという感覚です」
――特別に練習したり?
「練習はしていました。(マテイ・)ヨニッチ選手もそうやし、木本(恭生)選手を見ていても感じるところですけど、ヘディングはCBに絶対必要なもの。だからヘディングの技術はもっともっと磨いていかないといけない。改めて感じて練習していました。ただひたすらタイミングをつかむ練習とかをやりました」
――フィジカル的な変化も影響している?
「そこも今年は意識してきましたし、昨シーズンに比べたら体重も増えて、筋肉量も上がってきました。着々とやってきた結果かなと思うので。そこは継続して、来年もっともっとやっていきたいと思っています」
■2000年組がA代表に食い込みたい
🄫J.LEAGUE――公式会見で「来季はJリーグのベスト11やMVPを獲れるくらいに」という話をしていましたが、今JリーグのトップレベルのCBと自分を比べた時、上げないといけないのはどこになりますか。
「これは前のインタビューでも言ったことだと思うんですけど、やっぱり人に行く強さがまだまだ足りないと思っています。そこは自分の中で一番足りない。たとえば(川崎)フロンターレの谷口(彰悟)選手は、つぶせるところでちゃんとつぶせていますよね。そこに差を感じていますし、そういう良い部分は盗んで実践してというのをもっとやっていかないといけないと思っています」
――そこはそのまま東京五輪につながっていく部分ですね。
「五輪代表もアグレッシブな守備を要求されるチームなので、そこを取り込んでいければ、自分の中でもチャンスは来ると思っています」
――大学経由のCBでこの賞を獲ったのはU-17日本代表時代に指導を受けた斎藤俊秀さんなど複数いますが、高卒のCBでこの賞を獲るのは中澤佑二さん以来です(現在は21歳以下が対象となるため、大卒選手に資格なし)。こうやってCBが評価されるのは意味があるかもしれません。
「こうやって自分がDFで賞を獲れたことによって、DFの価値も上がっていくと思いますし、日本代表で活躍されている方々が獲ってきた賞なので、自分もそうならないといけないと思います」
――五輪もありますが、A代表も意識しますか。
「ずっとアンダーの世代から日の丸を付けさせてもらっている中で、そこは絶対目指さないといけないと思ってやってきました。自分と同い年の(菅原)由勢(AZ/オランダ)も入りましたし、(久保)建英(ビジャレアル/スペイン)もいます。そういった選手が入っている中で、自分も刺激をもらいますし、『そこまで行かないといけない』というくらいに思っています」
――菅原選手だけは悔しいというか。2000年組(2000年生まれ)、もっと入っていくぞというのはありますか?
「2000年組のメンバーがどんどん食い込んでいければ、すごく面白くなると思いますし、それを実現できる日も、そう遠くはないと自分では思っています。もっともっとみんなで切磋琢磨し合いながら、頑張っていきたいです」
――この賞をきっかに瀬古歩夢選手を知る方もいると思います。そういう人がセレッソの試合をパッと見た、あるいは五輪代表でパッと見た時に「俺のこういうところを見てくれよ」というのがあったら教えてください。
「まず、ビルドアップの部分で積極的に縦パスを入れたり、ロングフィードをするところを見てほしいです。その中で、守備の場面でアグレッシブに戦うところ、ボールに激しく行くところだったり、体を張るところを見ていただければ嬉しいです」
――体を張って守るという部分は、絶対に譲れない。
「そこはやっぱり、昔からそこは絶対欠かさずにやってきた部分なので。やっぱり、体を張って戦う部分は見てほしいですね」
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