ラ・リーガは12日にクラブ会議を開き、CVCキャピタル・パートナーズからの資金調達を承認した。ただし反対票を投じたレアル・マドリーやバルセロナといったクラブは、この資金調達と直接的な関係を持たないことになった。
ラ・リーガは1年ほど前からCVCキャピタル・パートナーズとの交渉を行い、27億ユーロ(約3500億円)の資金調達で合意に至っていた。CVCはラ・リーガの合弁事業、スポンサー契約、スタジアム周囲のテーマパーク化、IT戦略、テレビ放映権事業といった商業活動の改善によって将来的な利益増を見込み、その利益の一部を確保することで投資を行う。このオペレーションはラ・リーガの商業面を取り扱う新会社設立を通じて行われ、CVCは10%の比率で資本参加する。
資金調達する額の90%は、40〜50年のソフトローンでもって各クラブに分配される。分配額はテレビの視聴者数などに応じて決められ、その内70%がスタジアムや練習場のインフラ整備、15%が債務更新と新型コロナウイルスの損失補填に充てられ、残りの15%を人件費と選手補強に使用することができる。
このCVCとの合意案については、レアル・マドリーとバルセロナが「テレビ放映権収入を今後50年間、抵当に入れられることになる」と反対。バルセロナについては直前まで賛成しており、合意を承認するクラブ会議を早めることまで求めていたようだが、最終的には反対の立場に回って再契約できる可能性があったFWリオネル・メッシに別れを告げた。さらにレアル・マドリーは声明で、CVCとの合意に違法性があるとの見解から法的手段を講じる方針を示し、スペインフットボール連盟も同様の理由で反対の意思を示していた。
そうした喧騒の中で行われたラ・リーガのクラブ会議は6時間に及び、賛成が38票、反対が4票となってCVCとの合意が承認された。反対票を投じたのは1部がレアル・マドリー、バルセロナ、アスレティック・ビルバオで、2部がレアル・オビエド。以上の4クラブはCVCからの資金調達を受けることなく、自分たちの権利や収入について同投資ファンドの影響を受けることはない。それに伴い、CVCが出資する額は27億ユーロから22億ユーロ(約2850億円)に減少することになる。
ラ・リーガはこの資金調達によってインフラ面の整備を行い、将来的には仲介業者抜きのOTTサービス(現在スペインには存在しない)での試合配信などによって、収入を上げていくことを目指す。また資金調達を受けるクラブは人件費や選手補強のための臨時収入を受けることができ、パンデミックによる財政難を乗り越える後押しを得ることに。加えてレアル・マドリーやバルセロナなど資金調達を受けないクラブも、ラ・リーガが放映権の価値を増やせば将来的に恩恵を受けることができそうだ。