マンチェスター・シティがプレミアリーグの関連当事者取引(APTルール)に対して起こした訴えが一部認められたことは、アーセナルなど他のクラブに多大な影響を与える可能性があるようだ。
マンチェスター・Cは6月、APTルールがイギリス国内の法律に抵触しているとして訴訟に踏み切った。そして結果が7日に判明。25の訴えの内、一部が非合法であると認められている。そしてその中で、株主ローンについてもマンチェスター・Cの訴えが認められることに。独立委員会は「APTルールが湾岸諸国だけに限定されるのは差別的」との主張を認め、「株主ローンがAPTルールから除外されていることは違法」と判断した。
各クラブが所有グループから無利子で借り入れることはこれまでAPTルールから除外されていたが、独立委員会の判決により、これもPSR(プレミアリーグの収益性と持続可能性に関する規則)に含まれることが濃厚となっている。
そしてこの独立委員会の判断は、他のプレミアリーグクラブに多大な影響を与えることが予想されている。『The Athletic』は、「理論上、無利子の株主ローンがPSRに含まれる場合、一部クラブは違反を回避するために帳簿を再調整する必要がある」と指摘した。
同メディアによると、アーセナルはオーナーであるクロエンケ・スポーツ&エンターテインメントから2億5900万ポンド(約500億円)を借り入れており、またエヴァートンは大株主ファルハド・モシリから4億5000万ポンド(約867億円)、ブライトンはトニー・ブルームから4億ポンド(約772億円)以上、またチェルシーも多額を無利子の株主ローンで借り入れているという。
プレミアリーグの競技規則によると、各クラブは次回の会議において正式に投票することになる。『The Athletic』は「これまで無利子ローンの恩恵を受けてきたチームは最も大きな影響を受けるだろう。この規則変更が可決されれば、これらのクラブは想定していたよりもPSRの余裕が少なくなり、それに応じて支出の調整が必要になる」と分析した。
PSRにより、各クラブは3年間で1億500万ポンド(約203億円)、1年間で3500万ポンド(約68億円)まで損失を抑えなければならない。今回の判決により、各クラブの動きに大きな影響がありそうだ。