29日のラ・リーガ第29節、レアル・ソシエダは本拠地レアレ・アレナでのバジャドリー戦を2-1で制した。日本代表MF久保建英は先発出場を果たし、80分までプレーしている。
公式戦6試合、ラ・リーガ3試合で勝利から離れており、なおかつその期間、流れの中では1点しか決められていない絶不調のソシエダ。最下位バジャドリーをホームに迎えたこの試合で、勝利を取り戻したいところだ。
イマノル監督は複数の現地メディアの予想に反して、日本からの長旅を終えたばかりの久保を先発で起用。中盤から前線のスタメンはMFパブロ・マリン、スビメンディ、オラサガスティ、FW久保、オヤルサバル、セルヒオ・ゴメス。
ソシエダは前半から主導権を握り、バジャドリー陣地で一方的に攻撃を仕掛けていく。日本代表の2試合で160分近くプレーして疲労が心配される久保も、いつも通り超絶技巧を披露。時間も止めてしまうようなロングボールのトラップ、一人かわすのは当たり前のドリブル、視野の広さを生かしたスルーパスやヒールパス……その個人技でレアレ・アレナを沸かせていくが、しかし2枚マークがついていることもあり、ゴールにつながる決定的なプレーはなかなか見せられない。12分にはペナルティーエリア内から放ったシュートは、DFに当たった。
そして23分、ソシエダが流れの中から先制点を決めた。得点者はソシエダ、そしてスペイン代表で偽9番としてのプレー能力に批判が集まっているオヤルサバル。先の会見で「人々の言うことは気にしない」と話していたソシエダ主将は、ペナルティーエリア内中央で、オーバーラップしたハビ・ロペスのクロスに左足で合わせる。完全にミートさせたシュートではなかったが、ボールはバウンドしながら枠内に収まっている。
1-0で前半を終えたソシエダは、前に出ざるを得ないバジャドリーを相手にポゼッションとカウンターを織り交ぜながら追加点を狙う。とりわけ久保を起点とした速攻はバジャドリーにとって脅威に。47分には、右サイドを抜け出した日本代表MFをハビ・サンチェスがまったくボールに触れる気のない危険なスライディングタックルで倒して、イエローカードを提示されている。
タックルを受けた直後にはピッチにうずくまり、苦痛で顔を歪めていた久保だが、その後もゴールへのチャレンジをやめなかった。55分にはマリオ・マルティンをかわしてペナルティーエリア内に侵入し、右足のトゥキックを使ったシュートを見せる。が、これは惜しくもは枠の右に外れた。
ソシエダは68分に追加点を獲得。右サイドからのフリーキック、セルヒオ・ゴメスが左足でニアサイドに鋭いクロスを送ると、誰も触れなかったボールがそのまま枠の中に転がっている。
イマノル監督は80分の選手交代で、久保をピッチから下げて18歳のBチームFWダニ・ディアスをトップチームデビューさせる。ゴールなどの数字に残るプレーこそ見せられなかった久保だが、その圧倒的な存在感はレアレ・アレナの心を打つものだった。観客は歩きながらピッチから去る背番号14に対して、次々に席を立って、万雷の拍手を送っていた。
ソシエダは94分にレアル・マドリーの下部組織出身FW、ラタサにヘディングシュートを決められてバジャドリーに1点を返されるも、1点リードを維持したまま試合終了のホイッスルを迎えてラ・リーガ4試合ぶりの勝利を飾っている。なお、ファン投票によるラ・リーガのMVPに輝いたのは、久保。得票率は37%で、オヤルサバル(26%)、セルヒオ・ゴメス(29%)、パブロ・マリン(8%)を上回っている。
ソシエダは勝ち点を38に伸ばして暫定9位に位置。ヨーロッパリーグ出場圏5位ビジャレアル(2試合未消化)、カンファンレンスリーグ出場圏6位ベティスとの勝ち点差を暫定で6としている。