2020シーズンから明治安田生命J1リーグの全試合に導入されているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。いま話題のVARってそもそも何だ?そんな疑問に答えます。世界の各コンペティションで導入されつつある最新テクノロジーのルールと基礎知識を完全網羅。VARをもっと知ろう!
【目次】
VARとは?
VARとは、Video Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の略称で、主審や副審とは別の場所で映像を見ながらフィールドのレフェリーをサポートする審判員のことを指す。2018年に国際サッカー評議会(IFAB)が定めるサッカー競技規則記載の正式ルールとなった。IFABの承認を受けたリーグ、スタジアムにおいて、VARに関するライセンスを取得した審判員により、実施できるようになった。
近年では、2018年のロシア・ワールドカップを皮切りに、2019-20シーズンからはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも導入が決定。2020シーズンからは明治安田生命J1リーグの全試合ならびに、JリーグYBCルヴァンカップのプライムステージ全試合などにも導入されることとなった。
VARの役割
VARの役割は、Video Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)という名称の通り、あくまでも主審や副審、第4の審判員をサポートすることである。そのため、VARが主導となって判定を下すことはなく、フィールド上の審判員の判定で明白に間違っているものをなくすためにある。
フィールドでの判定についてVARが介入するのは4つの事象のみとなる。日本サッカー協会(JFA)によると、(1)「得点かどうか」(2)「PKかどうか」(3)「退場かどうか」(4)「警告・退場の人間違い」の4つが挙げられ、これらのなかで「はっきりとした明白な間違い」もしくは「見逃された重大な事象」があった場合にVARの介入が入る。
一方で、上記4例以外では、VARが介入することはない。主審や副審の見間違いや見逃しがあった場合には、それらの判定を正すサポートをするためにVARが介入することとなる。
VAR介入の手順
VARが介入するのは、(1)「得点かどうか」(2)「PKかどうか」(3)「退場かどうか(2枚目の警告は対象外)」(4)「警告・退場の人間違い」において、「はっきりとした明白な間違い」があったときに限られる。では、VARが介入する手順はどのようになっているのだろうか。
©Goal(1)事象発生(4事象のなかに限定)。主審が判定
「得点かどうか」
「PKかどうか」
「退場かどうか(2枚目の警告は対象外)」
「警告・退場の人間違い」
(2)VARが映像チェック。(必要に応じて主審と交信)
VARが複数のアングル映像やリプレイでチェック。必要に応じて主審と交信する。主審はVARと交信する際には、片方の耳に指を当てながら、もう一方の腕を伸ばすシグナルをする。
(3)VAR介入(レビューの可否)
「はっきりとした明白な間違い」がないと判断した場合、VARは主審にチェックが完了したことを伝える。レビューなしで終了。
「はっきりとした明白な間違い」があると判断した場合、VARは主審にレビューすることを提案。VARの介入、レビューあり。
(4)オンフィールドレビューか、VARオンリーレビューか
主審は1回目のTVシグナル(四角のテレビモニターの形を示す)をしてオンフィールドレビューかVARオンリーレビューを行う。
オンフィールドレビューは、VARの提案をもとに主審が自らリプレイ映像を確認して最終的な判定を下す。選手同士がどの程度の強さで接触したのか、ボールが腕にあたったが意図的であったかなど、主審の主観的な判断が必要となる事象に対して使用する。
VARオンリーレビューは、VARからの情報のみで主審が最終の判定を下す。こちらはオフサイドポジションでいたかどうか、ボールが手にあたったかどうか、など映像から事実として確認できる客観的な事象に対して使用する。
(5)主審が最終的な判断
主審はレビューが終了したらピッチ上で2度目のTVシグナル(四角のテレビモニターの形を示す)を発したあと、最終的な判定を下す。
追加副審(AAR)との違い
©Getty ImagesAARは、Additional Assistant Referee(アディショナル・アシスタント・レフェリー)の略称で、追加副審のことを指す。追加副審は各ゴール付近に1人審判を配置し、ゴールの判定や、ペナルティーエリア内の反則に対するジャッジの誤りを無くす目的がある。AARは、無線機を用いたコミュニケーションシステムの使用が必須であり、同システムが使用可能なスタジアムのみ実装することができる。
AARは、これまでEUROやCL、イタリアのセリエAでも実施されており、Jリーグでも数試合で試験的にAARのテストを行っていた。しかし、AARはゴール付近やペナルティーエリアでの判定においては、その力をいかんなく発揮するが、上記VARの介入事例にある(3)「退場かどうか」(4)「警告・退場の人間違い」への対応力は、VARには劣る。仮にハーフウェーライン付近で警告や退場に関する判定が生じたときに、AARは対応することは極めて難しい。
近年では、主要大会は揃ってVARが導入されていること、AARの機能がVARに備わっていることを考慮すれば、今後はVARが主流になっていく流れとなりそうだ。
ゴールラインテクノロジー(GLT)との違い
©Getty ImagesGLTは、Goal-Line Technology(ゴールラインテクノロジー)の略称。機械を使ってゴールか否かを判定する技術で、2014年のブラジルW杯で初めて導入された。ゴールラインを割ったか否かの判定において、主審・副審の目で見極めきれない際に用いる。
複数のハイスピードカメラでゴール付近を撮影し、ボールがゴールラインを超えたかどうかを判定する。ゴールラインを超えていた場合は、1秒以内に主審の腕時計に「GOAL」という表示とともに振動を与えて知らせる仕組みとなっている。
当時は複数の大会で導入されていたものの、主審の時計が振動しない事例や、1会場への導入に多額のコストがかかることなどが、デメリットに挙げられている。GLTもAARと同様に、判断できるのはゴールラインを割ったか否かのケースのみであり、現在は多くの判定を捌くことができるVARが主流となりつつある。
VAR用語集
©J.LEAGUE■VAR
「Video Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」の略称。日本後で「ブイエーアール」と発音する。主審や副審とは別の場所で映像を見ながらフィールドのレフェリーをサポートする審判員のこと。
■AVAR
「Assistant Video Assistant Referee(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー)」の略称。VARやRO(リプレイ・オペレーター)とともにVOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)でモニターをチェックし、VARをサポートする役割を担う。
■VARs
VARとAVARを合わせて「VARs」と呼ぶ。
■RO
「Replay Operator(リプレイ・オペレーター)」の略称。VOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)のモニターで試合映像を確認しながら、VARの要求に応じて複数台のカメラによる映像からチェックに最適な映像をセレクト。スロー再生やコマ送り再生をして映像によるジャッジのサポートを行う。
■VOR
「Video Operation Room(ビデオ・オペレーション・ルーム)」の略称。VARsが試合をモニタリングする部屋を指す。スタジアムかマッチセンターに配置しなけれなならない。なお、選手やチーム役員は入室できない。入室すると退場処分を受ける。
■RRA
「Referee Review Area(レフェリー・レビュー・エリア)」の略称。主審がオンフィールドレビューの際にモニターを確認する、白い破線で区切られたエリアのことを指す。このエリアに選手やチーム役員が入った場合は警告が与えられる。
■オンフィールドレビュー(OFR)
VARの提案をもとに主審が自らRRAでリプレイ映像を確認して最終的な判定を下すこと。主観的な判断が必要な場合に用いられる。
■VARオンリーレビュー
VARからの助言・情報のみで主審が最終の判定を下す。映像から事実として確認できる事象に使用する。
■TVシグナル
VARが介入する場合、主審が四角のTVモニターの形を指すこと。オンフィールドレビューもしくはVARオンリーレビューを用いるときに行われる。
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