FIFAミュージアムの新企画は、FIFAのチーフ・オブ・グローバルフットボール・デベロップメントであるアーセン・ベンゲルの支援を受けて実現し、20人以上の選手が野心あふれる若者から伝説的な選手となっていく物語が、時系列で写された素晴らしい写真を通して語られている。その中には、イングランド代表の歴代最多得点数を誇るハリー・ケインのものもあり、ユース時代から国際的なスターになるまでの姿が披露されている。
展覧会に合わせて、FIFAミュージアムとハリー・ケインが独占インタビューに応じた。イングランド代表キャプテンは、この展示に参加した思いや、自身の経歴、乗り越えてきた壁について振り返った。
(C)FIFA――「サッカー選手への道」展では、あなたが野心あふれる若者からイングランド代表の歴代最多得点者になるまでの姿が展示されています。こうした展示であなたの物語が語られていることをどう感じていますか?
自分の経歴がここで、こんなに素晴らしい場所で語られているのは、本当に不思議な気分だ。偉大なサッカー選手たちと並んでいて、恐縮してしまう。イングランド代表の歴代最多得点者になるなんて、公園でボールを蹴っていた子どもの頃には、夢にも思っていなかった。信じられない気分だ。それに、私の物語はまだ終わっていない。これからもっとゴールを決めて、もっとたくさんの試合を勝って、できれば、優勝トロフィーを母国にもたらしたい。
――展示では、ペレやパオロ・マルディーニ、イケル・カシージャスのような偉大なサッカー選手とあなたの写真が並んでいます。そうしたレジェンドたちとともにあなたの物語が語られることをどう思いますか?
ハリー・ケイン:ペレやパオロ・マルディーニ、イケル・カシージャスのような、本当に偉大なサッカー選手と並べられていることは名誉なことだ。子どもの頃、テレビで見てあこがれていたレジェンドだからね。彼らや他の選手たちと自分が並んでいるなんて、本当に恐縮してしまう。サッカーというスポーツに一生懸命取り組んできたことが認められたんだと思っている。でも一番大事なのは、サッカーが大きなモチベーションになってきたということだ。この展示は、サッカーを愛するみんなの気持ちを共有し、次の世代の子どもたちに夢をもってもらうためのもので、その一端を担えるのは光栄だ。
(C)FIFA――プロサッカー選手になるという子どもの頃の夢を振り返って、これまでの道のりで最も困難だったことは何ですか? どうやってそれを乗り越えてきたのですか?
ハリー・ケイン:プロになったばかりの頃、自分は突き進んでいける、高いレベルでプレーできる、舞台に立てると本気で思っていた。だけど、そうはならなかった。初めて、チームに馴染むのに苦労した。ベンチに座っているのはつらかった。父は、もっと一生懸命プレーしろとアドバイスしてくれて、2人で頑張った。そうして私はやってきたんだ。サッカー選手になってからずっとそうしてきたし、そのおかげで今の私がある。
サッカーを始めてから、家族やチームメイト、監督、素晴らしいファンの人たちにサポートしてもらって、本当にありがたく思っている。いつも私を励ましてくれて、私を信じてくれて、私のゴールを追いかけてくれている。
――あなたの物語は、きっと大勢の来客に感動を与えるでしょう。一生懸命に夢を追いかけている人々に、どんなアドバイスをしますか? 特に、壁に直面したときは、どうしたらいいのでしょう?
ハリー・ケイン:この展示が情熱をもって必死に夢を追いかけている人たちの励みになってくれればいいと思う。壁に直面することもあるだろうし、苦しい時もあるだろうけど、自分を信じれば、不可能はない。ここで私の経歴を見て、一生懸命に取り組めば必ず報われるとわかってほしいと思う。
――アーセン・ヴェンゲルの成長のための4つの柱(テクニック、フィジカル、戦術、メンタル)というのがこの展示の核となる要素になっています。その4つのうち、現在のようなあなたになるのに最も重要だったのは何ですか?
ハリー・ケイン:私にとって最も重要な要素は、一生懸命やること、自分を信じること、真剣に取り組むことだ。こういうことが、今の私を作りあげてきたと思っている。
――展示では不屈の闘志や必ず目標を達成するという決意が重要だと強調されています。サッカー選手になってからのあなたを導いてきた個人的な信条やマインドセットは何ですか?
ハリー・ケイン:できる限り最高の自分になることと、自分や家族を失望させないことだ。いつでも冷静でいようと思っている。サッカーを楽しまなければならないし、笑顔でいられない時はサッカーもうまくプレーできない。でも試合となれば、勝ちたいと思うものだ。私は負けず嫌いで、何をしている時でもそれは同じだ。ピッチにいる時でも、チームメイトとチェスをするときでも、私は常に勝ちたいと思っている。何をするときでも、いつも負けず嫌いなんだ。
――最近あなたは、ハリー・ケイン財団を設立しました。我々世代のメンタルヘルスに対する考え方の変化に焦点を当てた財団で、とても素晴らしいものです。あなたの個人的な経歴がこの財団のミッションにどう関係しているのか、特に、メンタルヘルスを取り巻く偏見にどう対処するのか、教えてください。
ハリー・ケイン:ありがとう。ハリー・ケイン財団は、メンタルヘルスに関する人々の考え方を変える役に立ちたいという長期目標をもって設立した。プロスポーツ選手がかかるプレッシャーのすごさを見てきたし、最高のパフォーマンスをするには、肉体と同じくメンタルも健康に保つことが重要なのは明らかだ。
自分のキャリアを振り返ってみても、苦しい時や困難は必ずあった。だから、財団では、メンタルの回復や精神的な幸福を強くするポジティブな習慣を人々に奨励している。メンタルヘルスに対する偏見を打ち破りたいとも思っている。誰もが壁に直面するし、強い人ほど助けを求めるのがうまいと思うから、よりオープンで許容力の高い世代を生みだしていけると思っている。
お問い合わせ:E-Mail: media.museum@fifa.org
(C)FIFAFIFAミュージアムとは?
FIFAミュージアムはチューリッヒにある、国際サッカーに特化した展示物を最大限包括した画期的なミュージアムである。サッカーという美しいゲームの豊かな伝統を称えるFIFAミュージアムは、世界のサッカーを統括するFIFAが、如何にしてサッカーをグローバルなものにし、誰もが認める世界のナンバーワン・スポーツにしていったのかを物語るものである。FIFAミュージアムは、さまざまなアトラクション、視聴覚体験、示唆に富む展示によって、サッカーというスポーツの魅力を伝えることを目的としている。
「サッカー選手への道」展の詳細はこちら
ハリー・ケイン財団
ハリー・ケイン財団(HKF)は2022年10月、世界メンタルヘルス・デーに設立され、メンタルヘルスをめぐる人々の偏見を変えることを長期目標としている。サッカー・イングランド代表のキャプテンにしてバイエルン・ミュンヘンのFWハリー・ケインMBEの主導のもと、あらゆる世代の観客に、メンタルヘルスについて積極的に行動するよう促し、教育し、エンパワーするべく、慈善団体や専門家、戦略パートナーとともに活動している。