2日、YBCルヴァンカップ決勝の名古屋グランパスvsアルビレックス新潟が国立競技場で開催された。
優勝した2021年以来となる3年ぶりの決勝進出を果たした名古屋と、クラブ史上初の決勝進出を果たした新潟によるファイナル。
2度目の戴冠を狙う名古屋は今季限りで同クラブを退団することが決まっているGKランゲラック、前回優勝時のMVPである稲垣祥らがスタメン入り。一方、クラブ初タイトルを目指す新潟は来季加入が内定している特別指定選手の稲村隼翔、準決勝の2試合で2ゴールを記録した太田修介らが先発のピッチに立った。
62,517人が駆けつけた決勝の序盤は、GKを含めた後方からのビルドアップでポゼッションを高める新潟と、それを前からはめようとする名古屋の構図。時間の経過と共に新潟が敵陣への侵攻回数を増加させ、8分には谷口海斗、12分には小野裕二が枠内シュートを放つが、どちらもGKランゲラックが立ちはだかった。
すると、ここまで見事なビルドアップを披露してきた新潟が痛恨のミスで先制点を与えてしまう。31分、バックパスを受けたGK阿部航斗のワンタッチパスがボックス付近でズレると、これを見逃さなかった永井謙佑が右足ダイレクトでゴール左に。ゴールネットが揺れ、大歓声に包まれた。
思わぬ形で先制を許した新潟は再びボールを保持して攻勢に出る中、ゴールを奪った永井のプレスバックが度々光る。そして、そのスピードスターが追加点。42分、椎橋慧也のボックス内への浮き球を走り込んだ稲垣が頭で落とし、ゴール前左の和泉からのラストパスを永井が流し込んだ。
後半に入ると、2点ビハインドの新潟が反撃態勢。開始1分、小野裕二のボックス右外からのクロスをファーサイドで秋山裕紀が右足で合わせる。しかし、これはGKランゲラックの守備範囲に。さらに57分、左サイドからのクロスをファーサイドの太田が頭で落とす。ゴール前右でフリーの藤原奏哉がダイレクトで右足を振り抜くも、ボールはゴールの頭上を越えた。
堅守を誇る名古屋の牙城をなかなか崩せない新潟は65分、星雄次、ダニーロ・ゴメス、長倉幹樹を同時投入する。すると71分、ボックス右外のダニーロ・ゴメスが力強いドリブルから左足でゴール前に絶妙クロス。これを谷口海斗がヘディングで押し込んだ。
1点差に詰め寄った新潟は、一際大きくなったサポーターの歓声と共にさらに攻勢を強める。新潟は72分に奥村仁、小見洋太を投入。一方、逃げ切りたい名古屋は75分に山岸祐也、80分に中山克広、菊地泰智を投入した。
追いつきたい新潟は85分、ダニーロ・ゴメスがボックス右外から左足でゴールを狙う。これがファーサイドに吸い込まれるかと思われたが、GKランゲラックがファインセーブでこれを許さない。
その後も最後まで同点ゴールを目指すも、相手守護神GKランゲラックを中心とした守備を崩せずにいる新潟。すると後半アディショナルタイム、ボックス左で小見が倒されると、一度は見逃されたものの、VARの末にPKを獲得。これを小見自らがゴール右に決め、新潟が2-2と追いついた。
延長戦に突入し、ファイナルに相応しい戦いを見せる両者。そんな中、先にネットを揺らしたのは名古屋だった。93分、左サイドからのクロスをキャスパー・ユンカー、山岸と競り合ったボールがゴール前右へ。これを中山が右足ボレーで合わせると、ボールは相手DFに当たってゴールに吸い込まれた。
このゴールで名古屋が3-2で勝ち越しに成功すると、試合は延長後半へ。再びリードを奪われた新潟だったが111分、敵陣中央やや右で縦パスを受けた長倉が見事な反転から左サイドへスルーパス。走り込んだ小見がGKランゲラックとの一対一を制して、スコアを3-3とした。
まさに死闘となった一戦。決着はPK戦に委ねられた。運命のPK戦。新潟は2人目の長倉が枠を外してしまい、失敗。一方の名古屋は5人全員が成功して決着。PK戦を制した名古屋が3年ぶり2度目のルヴァンカップ制覇を成し遂げた。