28日のチャンピオンズリーグ(CL)・グループE第5節、フェイエノールトはホームでのアトレティコ・マドリー戦を1-3で落とした。FW上田綺世はベンチスタートとなり、後半から出場。ゴールこそなかったが確かな存在感を放っていた。
決勝トーナメント進出の可能性を残すためには勝ち点がほしいフェイエノールトだったが、やはりスペイン、ひいては欧州を代表する強豪に数えられるアトレティコは強い。
シメオネ監督(CL100試合目の指揮)率いるチームはあらゆるポジションに顔を出すグリーズマンを中心に攻勢を仕掛け、14分に先制点を獲得。コケの左CKがファーに流れて、ボールを拾ったマルコス・ジョレンテが素早くクロスを送ると、これがルチャレルのオウンゴールを誘発している。
1点ビハインドで試合を折り返したスロット監督は、ハーフタイムにパイシャオンを下げて上田を投入。日本人FWは後半開始直後から積極性を発揮し、アトレティコの5バックを相手に裏抜けやセカンドボールからゴールを狙っていく。49分にペナルティーエリア内でエルモーソのクリアボールを拾ったが、ヒメネスのカバーリングを前にシュートまで持ち込むことはできなかった。
そして57分にスコアが動いた。動かしたのは、またもやアトレティコ。パブロ・バリオスの浮き球からエルモーソがペナルティーエリア内左に入り込み、左足で中央に向けてボールを叩くと、これがGKビユロウの頭上を越えて枠内に収まっている。狙っていたのかクロスだったのかはともかく、角度のないところから綺麗な弧を描いた弾道で、エルモーソ(スペイン語で美しいの意味がある)という名前らしい、まさに美麗なゴールだった。
2点のビハインドを負ったフェイエノールトは61分、ロングボールからペナルティーエリア内に入り込んだ上田が、モリーナの股を抜く左足のシュートでゴールをうかがったが、これはわずかに枠の左に外れる。上田の意欲あふれるプレーはその後も際立ち、76分には強引に打ったシュートからCKを獲得してチームの1点目を導いた。フェイエノールトはこのCKからマッツ・ウィーファーがヘディングシュートを決めている。
フェイエノールは上田が前線を活性化させて勢いを手にしたが、やはり相手はアトレティコ。堅守速攻も得意の同チームは2失点目を許さず、81分には3点目を決めた。左サイドからのフリーキック、ナウエルが蹴ったボールがサンティ・ヒメネスの頭によるオウンゴールを誘発した。
フェイエノールトは86分、上田がまたも最終ラインを突破し、送られた浮き球に右足で合わせたがこれは枠を捉えることができず。アトレティコが2点リードを維持したまま、終了のホイッスルが吹かれている。なおスペインでは、テレビ実況で「ウエダが入ってフェイエノールトの前線はとても良くなった」「ウエダはウエスカにいたオカザキ(岡崎慎司)を思い出させる。同じ日本人だしね」「ウエダは警戒すべきFWとされたサンティ・ヒメネスより良かった」とコメントされるなど、上田はフェイエノールトの中でも強い印象を与えたようだった。
なお同日に行われたラツィオ対セルティックは2-0でラツィオが勝利。これでグループEの順位は首位アトレティコ(勝ち点11)、2位ラツィオ(勝ち点10)、3位フェイエノールト(勝ち点6)、4位セルティック(勝ち点1)となり、アトレティコとラツィオのCLグループステージ突破が決定した。フェイエノールトがヨーロッパリーグに回ることになり、セルティックは最下位で敗退している。
■試合結果
フェイエノールト 1-3 アトレティコ
■得点者
フェイエノールト:マッツ・ウィーファーが(77分)
アトレティコ:ルチャレル(OG、14分)、エルモーソ(57分)、サンティ・ヒメネス(OG、81分)