12日のチャンピオンズリーグ(CL)・グループD第6節、レアル・ソシエダは敵地ジュゼッペ・メアッツァでのインテル戦を0-0で終えて、グループ首位通過を決めた。MF久保建英は先発出場を果たし、86分までプレーしている。
あと勝ち点1を獲得すれば、つまりこの強豪インテルとの試合で引き分ければ、グループ首位通過を果たすことができるソシエダ。とはいえ、堅守速攻ではなくポゼッション主体のスタイルを有する彼らは、やはりボールを保持しながらインテル陣地で試合を進めてゴールを、勝利を狙った。
ソシエダのアタッキングサードで攻撃の起点となったのは、久保。いつも通り4-3-3の右ウィングを務めた日本人MFは(久保以外の3トップは中央がサディク、左ウィングがオヤルサバル)、またも徹底マークに遭いながらも中央にカットインしてキラーパスを狙ったり精度の高いCKを蹴ったりと、ソシエダをゴールに近づけていく。
ただ相手のプレーに合わせられるインテルの守備はソリッドで、ソシエダは彼らの陣地でプレーし続けながらも先制までには至らない。38分には速攻からアレクシス・サンチェス、テュラムに立て続けにシュートを打たれたものの、スベルディア、トラオレの好守で失点を回避。また41分には久保のファーを狙ったCKにミケル・メリーノが頭で合わせたが、カルロス・アウグストにクリアされている。
試合は0-0のまま折り返し、後半も手堅い展開が続く。久保は右サイドでボールを保持しても2人、さらには3人に囲まれて、なかなか効果的なプレーを見せることができない。イマノル監督は61分に1枚目の交代カードを切り、サディクとの交代で中盤のトゥリエンテスを投入。1トップにはオヤルサバルを据えた。
ソシエダは68分、右サイドの久保の横パスからザハリャンがシュートを放ったが、これはインテルDFにクリアされる。その直後に久保が放ったCKでは、オヤルサバルが相手DFに体をつかまれながらボールに触れたものの、これは威力なくGKゾマーの正面に飛んでいる。
そして、75分には久保の個人技が爆発した。右サイドのタッチライン側でパスを受けると、まずダブルタッチでバレッラ、直後に右足でボールを蹴り出してC・アウグストと、瞬時に2人をかわしてそのままペナルティーエリア内右に侵入。そして3人目の相手、チャルノハールを抜いたと思われた刹那にピッチに倒れ込んで、これを見た主審がPKを指示した。だがVARが介入してオンフィールドレビューが行われると、チャルノハールとほとんど接触していなかったために、久保はシミュレーションでイエローカードを提示されている。ソシエダの14番はこの判定に対して、含みのある笑みを見せていた。
終盤はインテルが攻勢を強め、対してイマノル監督は87分に久保&アイエンをカルロス・フェルナンデス&ティアニーに代えて攻守のバランスを整える。結局、試合はスコアレスのまま終了のホイッスル。ソシエダとインテルは勝ち点12で並び、得失点差によりソシエダが首位で決勝トーナメントに駒を進めた。
ソシエダのこのCLグループ首位通過はスペイン、ひいては欧州、世界でも大きな評価を受けている。昨季CL準優勝チームで、今季セリエAで首位を走るインテル、昨季CLのサプライズチームだったポルトガルの名門ベンフィカ、オーストリアの強豪RBザルツブルクと同居した難しいグループを3勝3分け7得点2失点という成績によって1位で突破……。この偉業にサン・セバスティアンのチームは、今季CLで旋風を巻き起こす可能性もささやかれている状況だ。