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2021-03-25-japan-korea©Getty Images

日本代表、韓国戦。近年なかった「激突」の機会で試されるもの/予想スタメン

「日韓戦」は過去に76回行われているが、日本は13勝23分40敗。海外組を含めた本気のメンバーで戦う10年ぶりの一戦に森保ジャパンが挑む。

■10年前を知るのは吉田、西川のみ

20210325-japan11©Goal

「確かにアンダーではやったことありますが、逆にA代表ではやったことがないので……」

 対韓国”というワードを強調する記者の質問に対し、少し言葉を濁した南野拓実の表情が印象的だった。

 日本にとって韓国は地理的な“おとなりさん”でもあり、密接な関係性を持ってきた国であることは言うまでもない。サッカー界においても深い因縁があるものの、近年は「激突」の機会を持っていない。

 早くに欧州へ渡った南野が「対戦したことがない」のも当然で、過去10年で5度あった対戦のうち、4度は基本的に国内組しか参加しない2年に1度の年末に開催されるEAFF E-1選手権(東アジアカップ)での戦いだ。もう1試合はちょうど10年前2011年の夏に行われた札幌でのキリンチャレンジカップで3-0と日本が圧勝したときで、このときのメンバーで今回の代表に名を連ねるのはDF吉田麻也と、当時ベンチにいたGK西川周作のみである。

 両国はW杯のアジア予選で同グループに入るような機会もなく、海外組を含めた布陣で打ち合ったのはこの10年前の対戦が最後なのだから、「日韓戦」と言われてイメージが湧かない選手が多いのも無理はない。南野に限らず、同種の質問を受けてちょっと困った雰囲気を漂わせながら答える選手は多かった。

 その中で異彩を放ったのは、10年前の対戦も知る“生き証人”であるキャプテンの吉田だ。

「日本代表で戦う以上、最も大切な試合だと思う。もちろん、どの試合も代表戦は大事だけど、韓国と戦うのはそれだけ大切で、絶対に勝たないといけない試合だと思っている」

 今年33歳になる吉田は「恐らく僕が日韓戦の重要性を伝えられたギリギリの世代」と自認する。その上で「10年の期間が空いてそこを伝えられていないという若干の危惧があって、スタッフの人たちとも話していた」と言う。これをメディアに言ったのも、宿舎内での接触が制限される中で「他の選手たちも記事を読むだろうから」という意図だという。日韓戦の重さは、それくらい伝えたいことなのだ。

■通常とは異なる韓国側の気迫

20210325-korea11©Goal

 そもそもどうして日韓戦が「重く」なるのかと言えば、韓国側のこの一戦に込めてくる気迫が通常の試合とまるで違うからであり、普通の試合のつもりでゲームに入れば痛い目にあうから(あるいは、あってきたから)である。

 歴代日本代表監督の中には、気持ちの入り過ぎるゲームによって生じる負傷の可能性や、負けた場合の精神的ダメージの大きさを考え、韓国との親善試合開催自体を忌避した者もいた。

 ただ逆に言えば、親善試合にもかかわらず、真剣勝負に近い温度感の試合ができるということでもあり、何かを“試す”に際して、格好の舞台であるという言い方もできるだろう。

 選手たちはいずれも「球際で負けないこと」の重要性を強調する声が多かったが、こうしたフットボールの原初的な部分が問われること自体に価値があるとも言える。韓国の選手たちがこの試合に持ち込んでくる精神的な温度の高さと肉体的な強度の高さに対応できない選手は、当然ながら来たるW杯最終予選でも戦力になるはずもない。

 今回の代表には8名の初招集選手が含まれているが、国際経験のない選手にとっては決して低くないハードルになるだろう。そしてだからこそ、彼らの中から“使える選手”を見出す好機にもなる。

■日本の戦い方を見せられるか?

 とはいえ、力と力の真っ向勝負だけで戦うというのでは、逆に話にならない。タフかつ勇敢に戦うというのは大前提として持つべきではあるが、攻守両面のチームワークとして洗練された戦いをできないようではカタールW杯アジア予選への不安が募るばかりである。

 特に長く取り組んできたビルドアップの部分に関しては、韓国のタフなプレスをかいくぐってボールを運び出せるところをしっかり見せてもらいたい。個々の技術はもちろん、相手を観た上での立ち位置とプレー選択でボールをゴール方向へ動かしたい。

 そうした点から言うと、今回は中盤の中央を常に占めてきた柴崎岳が不在となる中で、遠藤航と組むボランチ、そして酒井宏樹ら海外組を招集できなかった中で、右サイドバックに入る松原健、あるいは山根視来のプレーが大きなポイントとなるだろう。

 個人的には親善試合の勝ち負けを過度に重視するべきではないと考えている。ただ、韓国戦に関しては負けたときに残るダメージが大きすぎ、逆に勝ったときに生まれる“やりやすさ”は特別なモノがあるため、勝敗自体を軽視できない。

 冒頭に触れた10年前の日韓戦もそうだった。指揮官の求心力を保ち、予選に向けた雑音を吹き飛ばしておくことまで考えると、ここで韓国に勝ち切っておくことには小さからぬ意味がある。

日韓戦の最新情報

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